第19代国会が5月30日に開院日を迎えた。国家の立法機関の新たな船出の日だ。しかし、国会議事堂に議員の姿はなかった。与野党の調整が遅れ、開院日になっても議長団が選出されなかったためだ。これは国会法に反するものであり、立法機関として示しがつかない事態である。
法に反する状況は、開院の遅れだけではない。今国会には、大韓民国の「正体性」(あるべき性質)に照らして不適格と思われる人物が議員として含まれているのだ。確かに彼らは選挙によって選ばれた議員ではあるが、選挙での投票操作疑惑や、法の最上位に当たる憲法の精神に反する行為で罰せられた経歴を持つ者がいる。
韓国憲法は第1条に「大韓民国は、民主共和国である」と定めている。与党セヌリ党では150人中3人が、国の根幹にかかわる国家保安法や反共法(1980年に国家保安法に統合)に違反した過去を持っていた。最大野党の民主統合党議員では127人のうち22人、統合進歩党は13人中8人だ。
彼らの中には過去の過ちを反省し、禊を済ませた上で議員になった者もいるだろう。半面、確信犯的に大韓民国の憲法精神に背き、北韓への利敵行為に走る可能性がある議員もいる。その中に、現在韓国世論から大きな非難を浴びている李石基と金在妍の両議員がいる。
彼らの議員資格を剥奪しようとの動きはある。そのためには与野党の協力が必要だ。国会の良心を守り、示すためにもいち早く彼らの資格を剥奪し、国会を正常に運営することが求められる。
韓国憲法は第4条で「自由民主的基本秩序に立脚した平和的統一政策を樹立し、これを推進する」と謳っている。李議員と金議員は、北韓の支持を受けて地下活動をしていた団体との関係が明らかになっている。憲法精神とは真逆の方法で、韓国を北韓の手に委ねようと活動していたのだ。
韓国では、彼らが国会の外交通商統一委員会や国防委員会に名を連ねることへの懸念も広がっている。両委員会とも軍事上の機密を扱う部門だ。いわゆる従北派がこうした委員会所属になった場合、国家機密が北韓側に渡る危険性があるのだ。「まさか」と思うかもしれないが、その「まさか」が起きないように手を打つのも議員の責任だ。
彼らと同じ「従北左派」と言われる人物の中には、過去に重要なデータを外部に持ち出した人物がいる。亡くなった盧武鉉・前大統領だ。盧前大統領は機密情報を収めたハードディスクを大統領府から持ち出した。そのデータがコピーされ、北韓に渡っていた可能性はないとはいいきれない。このような前例があるのだから、情報へのアクセスと管理には多重の警戒が必要だろう。
では、国家の危機管理のために国会を引っ張っていかなければならないのは誰か。議員資格の剥奪には国会の3分の2の賛成が必要だ。そのためには与党セヌリ党と最大野党民主統合党が手を組むことが必要だ。民主統合党の協力を引き出すには李明博大統領と、事実上のセヌリ党トップ、朴槿惠議員が指導力を発揮しなければならない。
一部には従北派問題を大統領選の末期まで待って再び政治の争点にすべきだという意見もある。そうした姑息なやり方で国家体系をないがしろにするのはよくない。国家の存立そのものを脅かす行為には、法治国家として現行の国家保安法で取り締まるべきだ。
1950年にかけて韓国で活動した成始伯という工作員がいる。彼は金日成から豊富な資金と指示を得て、韓国の国会議員を篭絡した。それが1950年6月25日の南侵につながったという見方もある。成は南侵直後にソウルで死刑になったものの、北韓で「共和国英雄第1号」になった。
過ちを繰り返さないためには、過去の生きた教訓から学ぶべきだ。それが国民の意見を託された議員の務めだ。問題の議員の資格剥奪だけでとどまらず、反国家政党解散法や反国家議員追放法のような法を発議することも視野に入れて早期の対応をとるべきだ。 |