60年代まで世界最貧国であった韓国が、11月25日経済協力開発機構(OECD)開発援助委員会(DAC)に加盟することになった。「援助を受ける国」から「援助する国」として国際社会に貢献することになった。OECD加盟国30カ国中、韓国、メキシコなど8カ国がDACに加盟していなかった。「援助受恵国」から「援助供与国」に変わったのは韓国が初めてだ。
グローバルにアクセス
1945年大韓民国の樹立後、6・25韓国戦争を経て廃墟になった韓国が先進国になるまでの過程は、苦難の連続だった。『ユンボキの日記』に象徴される60年代は、まだ6・25韓国戦争の荒廃から立ち直れずにいた。その後「漢江の奇跡」による経済復興と高度成長、「ソウル・オリンピック」を経て先進国入りを果たした。97年の「金融危機」も経験した。
1945年から90年代後半まで韓国が受けた海外援助額は現在価値で約600億ドルに達するという。日欧米から各種の借款援助を受け成長してきた。
日本からは、韓日条約に基づく無償・有償援助、コメや地下鉄の借款などを受け、それらを償還してきた。ただこれら日米欧からの援助がなければ、現在の韓国はなかっただろう。
北は「民族」にアクセスしたが、韓国は世界の「グローバル」にアクセスし、成功した結果だ。韓国は世界第13位の経済規模にふさわしく、開発途上国に援助するときが、来たのかも知れない。
DACに加盟するには、適切な援助組織、政策や戦略を有すること、援助規模がGNI対比0・2%以上または規模が1億ドル以上であること、援助評価システムを備えていることが求められる。
昨年の韓国の公的開発援助(ODA)の規模は、国民総所得(GNI)比0・09%で8億ドルの水準だ。政府はDAC加盟を契機にその規模を2015年までに0・25%の30億ドルの規模に引き上げる見通しだ。
海外からの援助を返す時
援助を行うには、相手国の実情に即した援助が求められる。そのためには、現地の実情に対する研究や人材育成が、金額の拡大より準備されねばならない。
当然援助の在り方も韓国は「援助を受けた国」から唯一、「援助をする国」に転換した国として援助金額の増大だけでなく、経済開発のノウハウなども伝えられるべきだろう。
開発途上国や低開発国に派遣し、技術や保健医療活動で奉仕する韓国国際協力団(KOICA)の規模も現状は1339人で、日本国際協力機構(JICA)と比べると半分に過ぎない。また紛争地域の治安と平和維持のための国連平和維持活動(PKO)参加もまだまだ低調だ。6・25韓国戦争時、国連軍16カ国の参戦国の助けで自由と平和を守られたということを考えると、恥ずかしい水準である。
今後DAC加盟が「先進国の中の先進国」という仲間入りであれば、それに見合うふさわしさが、国家や国民に求められる。それらは国際社会での国家としての責務であろう。国際社会への寄与は、韓国が長期的に競争力を強化するためにも必要なことだ。
国内的には、諸問題を抱え、国際社会への寄与をめぐる国民意識もまだ否定的である。しかし来年11月にG20(主要20カ国・地域)首脳会議が韓国で開かれることにより、韓国の地位は確実に高まる。
対北問題を抱える韓国にとっては、ODA援助を通じて、より一層外交など国際社会との連関性を高めることができる。このようなことから大統領府(青瓦台)は各政府部局に来年度事業報告を行う際、「国格向上」および「未来準備」案を大統領府に報告することを求めている。
DAC加盟は国際社会での役割拡大と力量強化を国家最優先の課題の一つと設定し、進めている。当然、今後北からの揺さぶりは、いろいろな局面で増すだろう。しかしその対応には、韓国として毅然さが求められる。
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