趙辰洙(漢陽大学校機械工学部教授)
6月5日付の朝鮮日報A4面の「記者手帳」の、「第2のロッテワールド、衝突が予想されたら許可を止すとか…」は、まさに前日の空軍とロッテ側が締結した合意書内容を伝えるのに止まらず、批判的な視角から問題点を指摘してくれた。去る3月31日、政府が新築を許可した蚕室の「第2のロッテワールド」が、万一にでも航空機と衝突する事故が起きる可能性があるなら、政府の決定を再考すべきだという趣旨だった。
112階の規模で建てられる「第2のロッテワールド」には、常住人口だけでも2万人を越えるはずなのに、ひとまず事故が起きたら、どれほどひどくなるかは想像すらしたくない。だから、「記者手帳」で短く取り扱うのではなく、合意書の内容を詳しく紹介し、「第2のロッテワールド」の安全性問題をもう一度指摘してくれたら、と言ううらみが残る。
記事に提示された「空軍の故意、または過失による事故でない場合、建物の内部の損害に対してはロッテ側が責任を負う」という合意条項は、航空専門家の目にはこの条項自体がロッテ側に責任感を付与するよりは、有利に逃れられる道を開いてあげたと見られる。最新の航空安全装備を搭載した航空機でも、機体の欠陥や操縦士の失敗のような「過失」による事故が発生し、アメリカの「9.11テロ」は、徹底した「故意」による事故だったという事実を勘案すれば、ロッテ側が事故の責任を負うのは、天災地変のような避けられない状況だけであるはずだからだ。これは「1000兆分の1の衝突確率」とか、「米連邦空港庁が安全だといった」などの論理を展開してきたロッテ側の立場を、空軍がそのまま認めてやるような印象だ。
一例で、1992年10月4日、イスラエルのエル・アル航空会社のボーイング747機は、オランダのアムステルダムのスキポル空港から離陸直後、エンジン故障で高層マンションに衝突し、搭乗者全員はもちろん、マンション住民39人を死なせた。「第2のロッテワールド」の新築後、同様の事故、あるいは「9.11」のようなテロが発生する可能性は本当にないのか。それなら、あえて衝突事故発生時の責任主体を明示した合意書がなぜ必要なのか。しかも今回の合意書によれば実際的事故の責任は空軍、つまりわが国民が負うことになる結果をもたらすのではないか。
「第2のロッテワールド」の新築予定地は、国際的基準であるUN傘下の国際民間航空機構(ICAO)と米国連邦航空庁(FAA)の基準によって、明確に「飛行安全区域」として区分される地域であり、高層建物の高度制限が必要な所だと思う。また世界のどこでも航空機が離着陸する航路のそばに500mもある超高層の障害物が存在する所はなく、特定建物を建てるため滑走路を変更した例もない。
「第の2ロッテワールド」問題は、国家の公信力と安保に直結する重大な懸案であるだけに、今からでも安全性に少しでも問題があると疑われれば、徹底的に分析してみるべきであろう。
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