先月24日、国会で可決された「黄色い封筒法(労働組合法改正案)」が、韓国の投資環境に大きな不安要因として浮上してきた。労働者の権利を底上げする内容ではあるものの、条文の不明確さが投資環境の新たなリスク要因になるとの懸念が、国内外の投資家の間で広がっている。
韓国に進出している外資系企業を代表する「在韓外国企業連合会(KOFA)」の調査によると、回答企業の35・6%が今回の黄色い封筒法可決により「投資縮小または韓国撤退を検討中」と回答した。
在韓米国商工会議所(AMCHAM)は「現行の形で法律が施行されれば、米国企業の投資判断に影響を及ぼす可能性がある」と懸念を示した。在韓欧州商工会議所(ECCK)も「不明確な基準が企業を法的リスクにさらし、撤退の可能性を招きかねない」と指摘した。
問題は「使用者」定義の曖昧さ
焦点となっているのは、「労働契約の当事者でなくても労働条件を実質的に決定できる者」を「使用者」と定め、元請け企業にも団体交渉の責任を課した条項だ。
製造業に従事する、ある外資系企業の関係者は「複数の協力会社と取引しており、どの下請け労組からでも交渉を求められる可能性がある。本社にとっては大きなリスクだ」と述べた。外資系企業は、このような「予測不能性」そのものを経営上の重大なリスクとみなしている。
韓国経営者総協会・大韓商工会議所・韓国経済人協会・韓国貿易協会・中小企業中央会・韓国中堅企業連合会など経済系6団体も一斉に警鐘を鳴らした。法案が企業活動の不確実性を高め、投資や雇用の萎縮につながると見られている。野党「国民の力」が「経済悪法」と強く批判する背景にも、韓国市場に対する国際的な信頼低下への懸念がある。
信頼される制度設計の必要性
労働界は、これまで保護を受けられなかった労働者が「実際の雇用主」と交渉できる道が開かれたと歓迎する。一方、投資家にとって重要なのは「労働環境の安定」と「予測可能な制度運営」である。ロイターなど海外メディアも、今回の法案が外国資本の投資に悪影響を及ぼす可能性を報じている。
専門家は、政府が施行令などを通じて「実質的支配力」の範囲や交渉義務の限界を明示する必要があると指摘する。労働権の強化だけでなく、投資家が信頼できる安定的な制度を整えることが政府の責務だ。適切な対応を欠けば、黄色い封筒法は韓国経済の不確実性を一層高める「新たな負担」となりかねない。
8月18日、韓国経済6団体の関係者が国会で「黄色い封筒法」に反対する共同声明を発表
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