韓国政府が税収拡大方針を打ち出した。法人税率を現行の24%から25%に引き上げ、株式投資収益への課税も強化する方針だ。税収不足と膨れ上がる国家債務への対応だ。だがこうした増税が「ゼロ成長」に陥っている韓国経済の回復に寄与するかは疑問が残る。
企業は利益から税金を納める。税率が引き上げられれば、それだけ投資に回せる余力が減る。ある大企業が10兆ウォンの利益を得た場合、税負担は従来より1000億ウォン増える。1%の引き上げに過ぎなくとも、企業にとっては相当な損失となり得る。韓国の法人税率は、アジア主要国の中でも高い部類に入る。日本(23・2%)、台湾(20%)、シンガポール(17%)、香港(16・5%)よりも高い。株式投資収益への課税強化方針も、株式市場にとってはマイナス要因だ。
政府は景気対策として、約32兆ウォン規模の補正予算を編成し、全国民に対して13兆ウォン超の消費クーポン(無償)も配布している。しかし、こうした財政支出は物価上昇圧力をもたらす。たとえば、政府債務が1%増加すると、消費者物価指数(CPI)が0・15%上昇するとの分析もある。
税率引き上げの必要性には市場も理解を示している。だが、今は景気回復を最優先すべきだという声のほうが大勢を占めている。企業活動が活発化すれば雇用が増え、消費も拡大し、結果として税収も増えるからだ。税政策を決めるにあたっては、企業活動と国民生活への影響を緻密に考慮する必要があるのだ。
(ソウル=李民晧) |