韓国の大統領選挙は結局、憂慮した最悪の結果となった。そして同時に、コンピューターを全面的に利用した選挙システムを操作して権力を掌握する、民主制度を破壊する犯罪すら、このシステムを掌握した左翼既得権勢力の能力として認められる結果となった。
いずれにせよ、歴史の中で多くの国々が経験した、そして今も経験している、選挙制度の致命的な副作用による社会の混沌と後退に、韓国も陥っている。いや、すでに深く陥った。李在明が大統領になったこと自体が、韓国が深い沼に陥っている証拠だ。特に、選挙過程の不正・違法を市民が発見し申告しても、当局は選挙管理委員の肩を持つ。人体の抗体が外部からの侵入者ではなく、正常細胞を攻撃する自己免疫疾患のように。
韓国で選挙制度に対する不安と疑いは、共和政の建国初期から問題となった。不正選挙とこれを正すための国民の抵抗・決起は、すでに第6号憲法から前文に入っているほどだ。
だが、韓国は今、第6号憲法からの前文の「4・19義挙」精神の以前に戻っている。選挙の無欠の検証を要求する数多くの国民の正当な権利は黙殺されている。
李在明の当選が宣言されるや犯罪者を美化する作業が広く始まった。法的、道徳的に裁きを受けるべき者が権力を行使するようになるや、彼は美化と崇拝の対象となる。この権力者を美化する作業には当然、言語とメディアが動員される。このような作業は必然的に非正常を正常に、悪を善に糊塗し、倒置する。ジョージ・オーウェルが描いた『1984』の世界だ。こんな世界では真実を語る者は、独裁者や暴君の敵となって弾圧を受ける。
それで、誰が指導者・権力者になるのかも重要だが、もっと重要なことは、権力を与える選挙制度、つまり民主制度のシステムが正常に機能しているかを常にチェックせねばならない。
普通の人でも選挙制度を利用してみたい誘惑を受け得る。正常なら到底、社会の指導者になれない者らが、権威が認められる「選挙制度」を利用(悪用)すれば、地位と権力を得ることができるから。
ここでティモシー・スナイダーの『爆政:20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン』を取り出してみる。
選挙は民主主義の花だが、この選挙によって民主主義が崩れる可能性があるということ。選挙という正当性を乱用、誤用して選出権力の名で政治制度を内部から崩壊する方式で多党制を除去、一党体制へと転換することができるが、この現象がすでに20世紀の欧州で現れた。
実際、ヒトラーのナチスも、選挙で勝利して法を悪用し立法、行政、司法権を掌握、他の政党を犯罪集団、内乱や反乱勢力のように思わせ、メディアを統制した。そして人類に惨禍をもたらした。
スナイダーは言う。
「投票は愛のようで、それが最後だったことが後で分かる」
いずれにせよ、李在明の大統領就任は、韓国がもはや三権分立で象徴される牽制と均衡が機能しない国、自然法の常識を破壊する、悪法の量産、無制限の立法独裁、総統制全体主義独裁が可能になった。
選挙と権力移動は、それ自体が新たな挑戦であり、新たな課題を生む。李在明と彼を支持した勢力は、彼らの利益と永久執権のため憲法をはじめすべてを変えるだろう。
偽りと悪に対する無関心は、偽りと悪意を識別できなくする。結局、多くの代価を払ってでも韓国人が覚醒するのが回復への近道だ。そしてこの覚醒のため闘争しなければならない。
金文洙が当選しても大韓民国を正常化するには準戦時の覚悟が必要だった。不義と暴政に対する抵抗は、主権者である自由人・自主人たちの権利であり義務である。 |