司法の独立性は、法の支配と個人の権利を守り、権力の濫用を防ぐために不可欠であり、民主主義社会の安定と信頼を支える根幹といえる。三権分立(立法・行政・司法)の原則において基盤となるものだ▼最大野党「共に民主党」は、大法院(最高裁)が李在明前代表の公職選挙法違反容疑に対する無罪判決を破棄し、ソウル高裁での差し戻し審を命じたことに猛反発している。もちろん、異を唱える権利はあるし、自由民主主義下であるからこそ可能だといえる▼問題は同党は曺喜大大法院長の弾劾を主張し、党内では大法院裁判官10人の弾劾や司法府無力化のシナリオまで議論されている。こうした動きは、司法府への不当な圧力であり、三権分立を根底から揺さぶる行為だ。司法府を「邪魔なもの」とみなし、弾劾で排除しようとする姿勢は、民主国家の正常なあり方とは程遠い。民主党は曺喜大大法院長を強制捜査する特検法案を12日、発議した▼こういったなかソウル高裁は、大法院が無罪判決を破棄、差し戻しを命じた李在明氏の選挙法違反裁判を選挙後である6月18日に延期。そのほかの裁判も選挙後に延期となった▼李氏は「党が国民の意向に沿って処理する」と述べ、弾劾論に距離を置いているとの詭弁にもならないような主張をしている。仮に李氏が大統領に就任すれば、立法・行政・司法の三権を掌握しかねないとの懸念が現実味を帯びる。韓国は建国以来、最大の危機を迎えていると言えるのではないか。選挙まで2週間を残すばかりだ。 |