【ソウル】トランプ米大統領が、韓国と米国による合同軍事演習の「大幅な縮小」に言及した。北韓の金正恩との首脳外交を再び動かし、米朝対話の再開につなげようとする狙いがあるとの見方が出ている。
トランプ氏は16日、韓米合同軍事演習の規模を大幅に縮小する考えを示した。北韓が長年、合同軍事演習を「侵略の予行演習」として強く批判してきただけに、対北融和のメッセージと受け止められている。
トランプ氏は発言の前日、2019年6月に金正恩と南北軍事境界線にある板門店で会談した際の写真を自身のSNSに投稿。「金正恩と私は非常にうまくやっている」と強調した。翌16日にも金との「非常に良好な関係」に言及したうえで、合同軍事演習の縮小を指示した。
過去にもトランプ氏は金正恩との関係をテコに北韓との対話を進めてきた。2018年6月のシンガポール米朝首脳会談後には、韓米合同軍事演習について「費用がかかり、非常に挑発的だ」と述べ、演習の中止方針を表明した。
今回の動きについて、米シンクタンク、スティムソン・センターの北韓分析サイト「38ノース」のジェニー・タウン氏は、平壌との外交の機会をつくるための取り組みの一環である可能性を指摘した。戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ氏も、ウクライナ戦争を契機に接近した北韓とロシアの関係に変化をもたらす狙いがある可能性を指摘している。
背景には、イラン戦争の長期化による米国内の政治的負担もあるとみられる。終戦交渉が進展せず、原油高など戦争の長期化による影響も広がる中、11月の中間選挙を控えたトランプ氏にとって外交上の成果が求められているとの見方だ。
一方、政府は、今回の発言について中間選挙を意識した動きとの分析を示しながらも、米朝間の対話が再開する兆候がないか注視している。現時点で、米朝間の対話チャンネルが実際に稼働している兆候は確認されていないという。