韓日スタートアップ合戦 第18回

防衛テックで韓日スタートアップ競演
日付: 2026年03月30日 05時12分


防衛産業スタートアップ100社を育成

中東情勢の緊迫化を背景に韓国と日本で防衛産業スタートアップを育成する動きに弾みがついている。
韓国政府は2030年までに防衛産業に参入するスタートアップ100社と売上げ1000億ウォン規模のベンチャー企業30社を育成する方針を打ち出し、ドローン、ロボット、人工知能(AI)などの防衛テックのスタートアップの創業、育成支援を加速している。
韓国ではウクライナ危機も相まって、防衛産業が活況を呈している。これを受けて、地対空ミサイルなどを製造するハンファエアロスペースのような大企業だけでなく、軍用部品を手掛ける中小企業、ドローン、AIソフトウエアを開発するスタートアップにも成長機会が波及している。

軍民両用の防衛産業クラスターを形成

韓国の中小ベンチャー企業部と防衛企業庁が26年2月にまとめた防衛産業スタートアップ育成案によると、韓国が防衛産業で4大強国入りするために、従来の製造・大企業中心の業態にAIなどの新産業・スタートアップを加えた新しい防衛産業エコシステムづくりを推進する。
具体的には、スタートアップ支援拠点「K防衛産業スタートアップハブ」の開設や次代のユニコーン(企業価値が10億ドル以上で非上場のスタートアップ企業)を育成する「ネクストユニコーンプロジェクトファンド」を通じた資金調達支援に乗り出す。さらに、スタートアップが韓国軍、総合防衛企業と共に参加する協業プログラム「防衛産業スタートアップチャレンジ」を新設し、スタートアップが開発した製品・技術を軍で実証試験する開発支援を行う。

Kディフェンステックへの投資拡大

こうした動きを踏まえて、軍民両用のデュアルユース製品を手掛けるKディフェンテック・スタートアップへの投資マネーの流入が相次いでいる。
特に、デュアルユース型AIドローンを手掛けるスタートアップが注目され、ドローンの群飛行、自律飛行、統合管制プラットフォームを持つパブロ航空には、防衛革新ファンドなどが累計で約1000億ウォン(約110億円)の投資をしている。

日本の防衛スタートアップも始動

日本でも安全保障環境の変化を受け、防衛領域でスタートアップとの連携が政策課題として浮上している。防衛装備庁内に防衛イノベーション科学技術研究所が新設され、産学官とスタートアップの知見を集約する技術開発拠点整備が進んでいる。
独自の技術を持つ中小・新興企業参入の動きも始まっている。生成AIでSNS上の消費者行動予測サービスを提供しているデジタルレシピ(東京・渋谷)は、他国からの偽情報や世論誘導を防止するシステムを開発、防衛装備庁に納入している。
また、半導体開発のエッジコーティックス(東京・中央)は、省電力や耐久性に優れたAI半導体をロボットやドローンに搭載する技術を開発、米国国防省の国防イノベーションユニットに提供する契約を結ぶなど、国際市場へのアプローチに着手している。 
防衛産業スタートアップを育成する両国の取り組みを受けて、防衛テック分野でのKスタートアップとJスタートアップの合戦が、これから本番を迎える。(おわり)


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