簡素化進む韓国葬儀文化

3無(祭壇、湯灌、形式)葬儀が拡大
日付: 2026年03月17日 09時50分

 韓国の葬儀文化が簡素化している。故人の死去後、3日間にわたり行う「3日葬」に代わり、祭壇を設けない無祭壇、伝統的な湯灌(ゆかん)を行わない無湯灌、決まった形式にとらわれない無形式、いわゆる「3無葬儀」が新たな流れとして定着しつつある。
冠婚葬祭業界によれば、「無祭壇葬儀」は2020年まで1%程度にすぎなかったが、昨年は20%まで増えたとみられている。地方の一部葬儀場ではその比率が半数近いところもあるという。
背景には社会構造の変化がある。単身世帯の増加や家族・親族ネットワークの縮小、葬儀費用負担、形式より実質を重視する意識拡大などが複合的に作用したとみられる。
実際の葬儀費用は平均1500万ウォンで、10年で約50%上昇した。
無祭壇を選べば弔問客用の食事代や会場使用料が大幅に減り、200万~300万ウォン台まで抑えられる。単身世帯の急増や家族・親族間の結束が弱まったことで、賑やかな弔問より「家族だけの静かな別れ」を望む雰囲気が醸成されている。
葬儀期間も3日という枠に縛られない。1日や2日に短縮する形や、生前に知人を招いて別れを告げる「生前葬(エンディングパーティー)」までメジャー化している。
韓国の葬儀で当然視されてきた遺体を整え縛る「湯灌」の手順も省略され、高価な麻の寿衣の代わりに生前着ていた衣服を着せる事例も増えている。
かつては弔問客への対応に追われ、遺族が故人と十分な別れの時間を持てなかったが、現在の簡素化傾向は追悼の本質へ立ち返る過程との見方もある。
専門家はこうした変化を、死を各自の生き方に合わせ再解釈しようとする文化的潮流と分析する。
梨花女子大学のユン・ジョング名誉教授は「3無葬儀は韓国における家族構造の変化を示す現象だ。2030(MZ)世代が喪主となる2030年以降、葬儀文化の個人化と多様化が加速するだろう」との見方を示した。
(ソウル=李民晧)


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