米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃をきっかけに、ホルムズ海峡が事実上の閉鎖状態となった。船舶の航行が停止し、原油輸送にも支障をきたしている。世界経済への影響が懸念され、韓国でも中東に対するエネルギー依存度が高いため、政府と海運業界が原油調達先多様化などの対応に追われている。
■船舶への攻撃予告
イランの最高指導者ハメネイ師を殺害されたイラン革命防衛隊は報復措置の一環として、ホルムズ海峡を通過する船舶への攻撃を予告した。
5日時点でHDオイルバンク、GSカルテックスなど韓国の原油運搬船7隻が同海峡を通過できず、ペルシャ湾内に足止めされている。7隻を合わせた積載量は韓国全体で消費する石油の7日分に相当する。
ペルシャ湾とオマーン湾をつなぐ同海峡は、世界の石油輸送量の約20~30%を占める重要な輸送路となっている。
■95%以上の依存度
韓国が中東から輸入する原油は2025年時点で全体の69・1%を占め、このうち95%以上が同海峡を通じて輸送されるなど、依存度が極めて高い。
政府は同海峡をリアルタイムでモニタリングし、対応策を策定している。緊急対策班では、国内の石油とガスの備蓄量は十分であり、液化天然ガス(LNG)はカタールから輸入される中東産の割合が20%以下であるため、供給に問題はないとしている。
ホルムズ海峡の現状について海運業界では、同海峡にいるか近くを航行している韓国海運会社所属の船舶は30隻を超えるとしている。韓国海運協会と海洋水産部は同海峡内の船舶を安全な場所に避難・係留させ、周辺の船舶の同海峡への進入を禁じた。
同海運協会は会員企業に対し、事前の安全教育と緊急対応訓練実施、各船舶の保安計画の策定・施行のほか、戦争保険の加入状況や特約条件の再点検などを行うよう要請した。
ホルムズ海峡を巡る緊張の高まりを受け政府は、事態が長期化した場合に備えて中東以外の地域からの原油調達を計画している。具体的な調達先は公表していないが、日本など他のアジア諸国の事例や国際的なエネルギー市場の動向から、いくつか可能性のある候補が考えられている。
■調達可能性の候補
米国はシェールオイル生産量が増加し、世界最大の産油国となっている。日本も輸入を増やしており、重要な調達先となり得る。ただし米国内の消費量も多いため、大規模な輸出余力には限りがある。エクアドルについては、イランへの制裁強化と同時期に日本が輸入を急増させた。カナダは近年、米国が輸入を増加させている。ベネズエラは豊富な埋蔵量を持つが、政情不安や経済制裁の影響で国際市場での取引が制限されていた。しかし制裁緩和により今後、代替候補となる可能性が指摘されている。
■220日分を備蓄
韓国石油公社によると、25年11月末の石油備蓄量は221・2日規模で、国際エネルギー機関(IEA)基準である90日と比べ余裕がある。このうち政府は117・1日分を、民間は104・1日分を保有している。民間が保有している石油を先に使い切れば、政府備蓄を供給する計画だ。
韓国貿易協会の分析によると、国際原油価格が10%上昇する場合、輸出は0・39%減少する半面、輸入は2・68%増加する。
李在明大統領は5日の閣議で「民生全般に影響を与えるエネルギーの供給と価格の安定に注意を払うべきだ」と指摘している。