前回の本欄で指摘したように、ドナルド・トランプ米国大統領は生粋の企業経営者である。適当に時間をやりくりし給料が保証される官僚や公務員の無責任な態度とは次元が異なる。一歩間違えれば倒産や破産、社員と共倒れが待つビジネスジャングルで生き残った彼は、国家経営においても「命をかけた」戦略を駆使している。2020年大統領選のあらゆる論争や民主党政権下での弾劾訴追、さらには暗殺未遂という死の淵を越えて再選に成功した彼の歩みは、屈辱を決して許さないビジネスマン特有の決意と推進力を示している。
最近、国際社会を揺るがせた米国の軍事行動は、トランプ流の「欺瞞術」と「圧倒的武力」の真髄を示した。今年1月初め、米国は全く予想していなかった時期にベネズエラのマドゥロを電撃逮捕、連行した。続いて2月末にはイランの独裁者ハメネイを斬首すると同時に、指揮部49人を爆殺する奇襲作戦を成功させた。
注目すべき点はトランプ氏の心理戦である。攻撃命令を出した直後、エアフォースワン機内で最終承認を終え、テキサスのハンバーガー店で市民と楽しい時間を過ごした。米軍が作戦中であることに敵が全く気づかないようにした戦術であった。この過程でB1、B2、B52爆撃機とステルスミサイルが投入、イラン国内の約2000カ所の軍事目標を壊滅させた。
今回の勝利の最大の功労者は、人間情報(HUMINT)とAI分析が結合された最先端のC4ISRシステムだった。米軍は陸・海・空・宇宙軍の情報をビッグデータソフトウェア企業『パランティア』とAIオペレーティングシステムを通じてリアルタイムで統合した。指揮(Command)、統制(Control)、通信(Communication)、コンピューター(Computer)に情報(Intelligence)、監視(Surveillance)、偵察(Reconnaissance)が加わったこのシステムは、戦場の状況を手のひらを見るように把握させる。特に、米軍は今回の空爆にAnthropicのAI『Claude』をはじめ、GoogleのAI『Gemini』、xAI、OpenAIを積極的に活用した。膨大なデータをリアルタイムで分析し、クリティカルな攻撃ポイントを選定、意思決定時間を画期的に短縮した。これによりイランの反撃能力は初期と比べて1/16のレベルに瓦解、イランは数千年の歴史の中で初めて周辺の中東諸国に降伏を宣言することになった。
米国が攻撃した主要な地点の多くはイラン革命防衛隊の「地下データセンター」であった。ここで米特殊部隊は中国とイランが共謀し作成した選挙ハッキングプログラム『CE101』のサーバーとハードディスクを押収した。トランプ大統領が言及した機密情報(SCIF)によると、このプログラムは米国だけでなく韓国を含む世界100カ国以上の選挙に介入した「国際詐欺犯罪」の核心的な道具であった。
資金の流れと各国の有力政治家の名簿が入ったこの『パンドラの箱』が公開されれば、世界中に想像を絶する政治的大粛清の津波が押し寄せるだろう。トランプ大統領が近く国際的な不正選挙撲滅のために「国家非常事態」を宣言しようとする理由もここにある。
この変化の波は韓半島を直撃している。トランプ大統領の本当の目的は、「一つの中国」を掲げ台湾を侵攻しようとする習近平主席をけん制することである。これを実現するため韓国の協力が不可欠だが、現在、与党を中心とした親中・反米政権は米国の戦略的な障害と見なされている。保守論客や情報筋によると、韓国にはFBIとCIAの要員約100人がすでに活動している。トランプ大統領の粛清の順序は明確だ。不正選挙に関与した親中・反米国家とその勢力が標的である。北韓の金正恩政権よりも国内の特定政治勢力が先に米国の措置対象になると予測されている。
トランプ大統領は周辺国(イラン、ベネズエラなど)を先に攻撃、中国を孤立させる戦略を展開している。彼は「昨日は友人のように接し、今日は殺すことができる」という予測不可能性を武器に独裁者たちをジレンマに陥れた。冷戦が6・25戦争で始まったとすれば、今回の「新冷戦」は中国の没落とともに北韓の自由化で終わる可能性が高い。イランはもはや「中東の暴徒(Bully)」から「中東の敗者(THE LOSER)」へと転落した。
今残っているのは、この巨大な真実の波が大韓民国に達したとき、誰が生き残り誰が消えるのかという問題だ。自由の価値を守るための米国の決断はすでに始まっており、その終わりは間もなくだ。
高永喆(コ・ヨンチョル)
拓殖大学客員教授、韓国統一振興院専任教授、元国防省分析官。著書に『金正恩が脱北する日』(扶桑社)など。