在日科協が「第17回合同分科会」開く

宇宙の起源から超高齢社会まで議論
日付: 2026年03月10日 09時07分

 在日韓国科学技術者協会(洪政國会長)は韓国中央会館で7日、「第17回合同分科会」を開催、若手の理系韓国人研究者を中心に約100人が会場に集まった。基礎科学の深淵から現代社会の喫緊の課題まで、多岐にわたる最先端の成果が共有された。

若手韓国人研究者らが集結

 開会のあいさつに立った洪政國会長は、「本協会は韓日の学術・技術交流の中核を担ってきた」と強調。現代の複雑な社会課題に対し、「科学技術者としての使命を再確認し、韓日両国の共同繁栄、さらには人類全体の平和に寄与していくべきだ」と力強く呼びかけた。

■金修奉教授「ニュートリノが解き明す宇宙の謎」

一人目の招待講演には、ニュートリノ研究の世界的権威である中山大学の金修奉教授が登壇した。金教授は、ソウル大、米国・ペンシルベニア大を経て、東大宇宙線研究所やソウル大で教鞭を執り、2011年に「ポスコ・青岩賞」を受賞している。
講演では、1930年の予言から2015年のノーベル賞に繋がった「ニュートリノ振動」の発見まで、自身の研究成果を交えて解説。「現在進行中の次世代装置『ハイパーカミオカンデ』により、宇宙の物質起源に迫る新たな物理学の飛躍が期待される」と語り、若手研究者たちへ科学の夢を伝えた。

■慎重弼教授「IT技術で超高齢社会を支える」

続いて、会津大学の慎重弼教授が「少子高齢化社会を支えるためのコンピュータ理工学の役割」と題して講演した。
慎教授は高エネルギー物理学の博士号を持ちながら、現在は人間工学に基づいたITの社会実装に注力している。
講演では、精密なセンサー技術を応用した手書き文字認識技術を紹介。「デジタル環境下でも『書く』という身体的動作を維持することは、高齢者の認知機能維持や脳の活性化に極めて有効である」と指摘。ITを単なる利便性の追求ではなく、福祉や教育の現場に還元する重要性を説き、共感を呼んだ。

■多彩な研究が花開くポスター発表会

午後のポスター発表・専門分科会では、各分野の第一人者である分科会長たちの進行のもと、活発な意見交換が行われた。
第1分科(生命科学・医学)では、人工知能を用いた心不全診断支援や、ウイルス感染、植物生理学など、命の根源に迫る研究が発表された。
第2分科(情報通信・数理計算)では、強化学習や生成AI、無線ネットワーク、自動走行技術など、最先端のIT技術が議論された。
第3分科(エネルギー・材料・環境)では、次世代二次電池や核融合、材料の微細構造解析など、持続可能な未来に向けた技術が披露された。
閉会に際し、参加した若手研究者らは専門分野や世代を超えた交流を通じて、韓日両国の科学技術の発展に向かって、決意を新たにした。
洪会長は本紙の取材に対し、「この合同分科会は、これまで17年間継続されてきた歴史を持ち、企画・運営は本会や理系学生のスタッフを中心に行っている。『在日社会にこういう研究者たちの集まりがある』と軽い気持ちで、多くの方々に会場まで足を運んで頂きたい」と述べた。

(上)7日、「第17回合同分科会」の開催に先立ち、主催者あいさつを述べる洪政國・在日韓国科学技術者協会会長

(下)建築・科学・機械・工学宇宙・有機材料・物理・バイオエンジニアリング・金属材料・高分子・都市・新エネルギー環境システム・次世代応用材料分科会で議論した


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