米・イスラエルとイラン衝突の余波

為替・原油・物価が同時上昇
日付: 2026年03月10日 10時37分

 米国・イスラエルとイランの軍事衝突により中東情勢が急速に悪化し、韓国経済に「3高」ショックが広がっている。原油価格の急騰とウォン安、物価上昇が同時に進むなか、金融市場の変動も高まっている。専門家は、戦争が長期化した場合、韓国経済が物価上昇と景気停滞が重なるスタグフレーションの危険に直面する可能性があると警告している。

 

 中東での戦闘開始後、最初の取引日となった4日、韓国株式市場ではサイドカーとサーキットブレーカーが同時に発動される事態が起きた。
この日1日で、KOSPIとKOSDAQの時価総額は約670兆ウォンが蒸発した。日本(4%)や台湾(4%)と比べ、KOSPIの下落幅が3倍に達したのは、韓国経済の高い輸出依存度と半導体など大型株中心の指数構造に起因する脆弱性が露呈したためだと分析されている。
イラン空爆後、ドルに対するウォンの価値は40ウォン近く急落し、1ドル=1500ウォン台を脅かしている。ウォン安は必然的に物価上昇につながりやすい。韓国は原油や原材料の大半を輸入に依存する構造だからだ。このため外国人投資家は、サムスン電子やSKハイニックスなど大型株を中心に売りを加速させている。

 生活物価も上昇、コメ価格が18%近く急騰

ホルムズ海峡が事実上閉鎖されたことで、韓国向け原油タンカー7隻が海域内で足止めされている。国際原油価格も急速に上昇している。ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は1バレル100ドル台を突破し、2023年以降で最高水準を記録した。その影響でソウルのガソリン平均価格は1リットル1900ウォンを超え、22年8月以来の高値となった。
生活物価も上昇している。畜産物価格は前年より6%上昇し、コメ価格も18%近く急騰するなど、物価上昇圧力が実体経済全体を脅かしている。
韓国貿易協会の分析によると、原油価格が10%上昇した場合、輸入は2・68%増加し、輸出は0・39%減少するという。

 スタグフレーション警戒

政府は事態の長期化に備え、アラブ首長国連邦(UAE)から原油600万バレルを緊急導入する方針を決めた。
現在、韓国の石油備蓄量は約206日分で、国際エネルギー機関(IEA)の基準である90日分を上回っているが、政府は危機の程度に応じて備蓄油の放出など追加対策も検討している。さらに、防衛用ミサイル「天弓Ⅱ」の輸出とエネルギー協力を連動させた「エネルギー・防衛産業融合安全保障(EDSC)」戦略を通じ、エネルギー供給網の強化も進めている。
問題は物価上昇と景気減速が同時に進む可能性だ。専門家は、原油価格の急騰が続けば年間経済成長率2%の達成は難しいと指摘する。
国際原油価格が1バレル100ドル水準まで上昇した場合、消費者物価は1%以上上昇し、経済成長率は0・3%程度低下するとの分析もある。物価が急騰し成長が鈍化するスタグフレーションに陥らないためにも、政府の迅速な対応が求められている。

ホルムズ海峡で足止めされている原油タンカー

 


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