韓日左派「連帯」の現在地

進歩派陣営 意思疎通困難に
日付: 2026年03月03日 12時46分

 「3・1朝鮮独立運動」日本ネットワーク(今野耕太代表)は都内の会場で2月28日、「3・1朝鮮独立運動107周年・屋内集会」を開催、約200人が集まった。昨今の東アジア情勢の緊迫化を背景に、韓日の左派系市民団体が「連帯」を掲げ集まった。そこで露呈したのは、韓国で政権を奪還した進歩陣営が「体制派」となった自負の宣言にほかならず、日本国内で活動する韓統連だけではない周辺団体との立ち場の相違に、冷たい空気感が漂った。

記号化された三・一精神

 集会では冒頭、主催者を代表して「3・1ネットワーク」の今野耕太代表があいさつに立った。 
今野代表は開口一番、当日報告を行う予定であった朴錫運・韓国進歩連帯常任共同代表が急遽来日できなくなった事由について説明。代わって、同組織のチュ・ジェジュン政策委員長が代理の発表人を務めることになった経緯を伝えた。
続いて、一人目のメインスピーカーとして登壇した、ジャーナリストの布施祐仁氏は、現代の安全保障環境と韓日米同盟の変容について詳細な分析を提示した。

■米中摩擦と韓日関係問う

布施氏は、トランプ政権の再来がアジア情勢に及ぼす流動性や、日本の防衛政策の転換点についてデータに基づき論理的に言及。その分析は、韓日米の軍事協力強化が招くリスクを多角的に検証するものであり、従来のパクス・アメリカーナ体制が崩壊しようとしている現況下で、韓国をはじめとする友邦がいずれも米国の一極体制に対し同調だけではない姿勢を取っている点を丁寧に説明すると、会場の参加者が熱心に聞き入る姿が見られた。

■焼き直しの「光の広場」

しかし、集会のトーンが変化したのは、続くチュ・ジェジュン氏による朴錫運氏の代理発表だった。チュ氏が読み上げた報告内容は、韓国における「キャンドル革命」の成果と、その後の現政権樹立に至るまで「市民社会の勝利」を強調する内容に終始した。報告では、いかに自分たちが韓国国内の政治状況を動かしてきたかという「功績」が一貫して語られた。
ここで浮き彫りになったのは、韓日の〝進歩〟派の内部における決定的な現況の差だった。韓国側は、現政権下で事実上の「体制派」としての地位を固め、国家運営に影響力を及ぼす立場に台頭したのがこの1年間での変化だ。半面、日本側で集会を支える関係団体は、現状の強固な保守政権を前に、依然として中心地に立てない抵抗勢力としての活動を余儀なくされている。一見すると、トランプ大統領への警鐘や中国への同調といったスローガンで共通項を見出そうとしている左派陣営内での団結にみえるが、その実態には拭えない格差が生じている。
韓国側が語る「自国政権の礼賛」に近い勝利の物語は、日本の政治状況下で活動する韓統連・朝総連などの在日団体にとって、必ずしも等身大の指針となり得ないはずだ。布施氏のような論理的な警鐘さえも、韓国側の「政治的勝利の文脈」を補完するための装置として講演に組み込まれているかのような印象を参加者に与えかねない。
韓統連は、ここ1~2カ月の間に韓国の左派系市民団体と急速な「連帯」を進めている。しかし、本国で与党に近い存在となり影響力を行使している韓国の進歩勢力に比して、当日集まった日本の市民団体側の人々は、先の衆院選の結果に落胆しているような人々らであった。昨年の会合では「(民主主義を破壊した)尹錫悦罷免」を目指し一致団結していた彼らが、思わぬかたちで内部分裂しかねない現状の格差を痛感させたのがチェ氏によるオンライン発表であった。
日本国内でマイノリティーの側に立つ抵抗勢力と、本国で与党勢力=「体制派」となった韓国左派陣営との非対称な「連帯」は、今後の意思疎通を決定的に難しくしていく可能性が高いとできよう。
「独立」精神の継承を謳いながら、実際には韓国進歩派による自陣営の正当化と、それに対する韓統連側の「動員装置化」という構図が透けて見えたのが今回の集会のハイライトだ。
多極化する世界情勢の中で、彼らが標榜する「連帯」が、いかに現実味を欠いた空虚な記号に陥っているかを象徴する一日となった。

2月28日、都内の会場で市民団体関係者ら約200人は韓国ゲストによる自画自賛の講演に接し、立ち位置の相違に当面した


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