一般社団法人「KJプロジェクト」(裵哲恩代表)は韓国中央会館で12日、「第74回日韓記者・市民セミナー」を開催、約30人が参加した。曺壽隆・公益財団法人「朝鮮奨学会」常務理事が講師を務め、「人口動態から見る在日社会の未来」と題し講演を行った。曺常務理事は、急減する特別永住者の現状や、世代交代に伴う変容を分析した。
講演の冒頭、曺常務理事は客観的なデータを用いて在日社会が直面する構造的な変化を指摘。統計によれば、韓国・朝鮮籍の特別永住者は減少の一途をたどっており、2023年に同胞同士の婚姻によって誕生した子どもは全国でわずか372人にまで落ち込んでいる。かつて年間1万人以上が誕生していた時代とは状況が異なり、歴史的な転換点を迎えている。
一方で、「新定住者」は増加しており、国籍構成の多様化が進んでいる。こうした現状を受け、曺常務理事は「”在日=特別永住者”という従来の固定的な枠組みを問い直す時期に来ている」とした。
世代交代に伴うアイデンティティーの変化についても、自身のライフヒストリーを交えた考察がなされた。生活のために日本社会に適応した1世、差別と自立の狭間で葛藤した2世に対し、3世以降は「日本社会の一員」としての自覚が強まっている。特に4世以降の若い世代では、韓国の経済発展やKPOPなどの文化的な影響により、自身のルーツを肯定的に捉える「自己肯定感」が高まっているという。曺常務理事は、「アイデンティティーとは単に伝統を受け継ぐものではなく、個々人が自らの人生の中で物語を構築していく「ライフプロジェクト」である」と定義している。
最後に、「ルーツを隠したり苦難としてのみ捉えたりする過去の在日像から、海を越えたつながりを自身の可能性として楽しむ明るい在日像へとアップデートしていくべき」と知見を述べた。3世としての使命感を持ち次世代の学びを支える仕組みの重要性を訴え、新たな展望を示して講演を締めくくった。
朝鮮奨学会の曺壽隆常務理事が講演