韓国関税庁は2025年の韓国ブランド偽造品の取り締まり結果を公表した。それによると、摘発点数は約12万点で、発送元の国・地域は中国が大半を占めた。偽造品は、化粧品、服飾雑貨、SDカード、電子製品など多岐にわたっている。韓国では、中国と締結した知的財産権保護のための覚書(MOU)に基づく措置を本格的に推進し、偽造品流通の根絶を目指す。
関税庁は1月27日、昨年1年間に通関での集中取り締まりで韓国ブランド偽造品11万7000点を摘発したと発表した。
■eコマースが影響か
一般貨物と特送貨物の両方で多数の偽造品が摘発された。従来は業者単位の摘発が中心だったが、個人の電子商取引(eコマース)の活性化によって、少量貨物の流通が増えた影響と分析されている。
発送元の国・地域別では、中国が97・7%で大部分を占め、ベトナムが2・2%で続いている。品目別では化粧品類が36・0%で最も多く、次いで玩具・文具類が33・0%となった。
摘発された主な知的財産権を侵害されたブランドは、Sulwhasoo(雪花秀)、Beauty of Joseon(朝鮮美女)、3CEなどの化粧品、Mardi Mercredi(マルディメクルディ)、Gentle Monster(ジェントルモンスター)、MARITHE FRANCOIS GIRBAUD(マリテフランソワジルボ―)などの服飾雑貨、カカオフレンズのぬいぐるみ、男性グループBTS(防弾少年団)のキーホルダー、サムスン電子のSDカード、LG電子の電子部品など多岐にわたっている。
経済協力開発機構(OECD)は世界で流通する韓国企業の知的財産権を侵害する偽造品規模が、21年に97億ドル(約1兆5000億円)に達したと発表している。これは同年の韓国における全体の輸出額の1・5%に相当する。
■税収15億ドル超損失
また、OECDは韓国企業が受ける売上高の損失を21年時点で61億ドル(約9400億円)と試算した。これは製造業全体の売上高の0・6%を占める。製造業の雇用喪失は同年に1万3855件で、製造業全体雇用の0・7%と推計している。政府の税収に関しても同年に総額15億7000万ドル(約2400億円)の損失が生じたと算出している。
ことぶき特許商標事務所南青山オフィス(東京都港区)は、発送元の大部分を中国が占めていることについて「中国が世界的な製造拠点であることと、模倣品ビジネスが根強いことを考えれば、必然的な数字」と受け止めている。
■ブランド力の証拠
偽造対象となったブランドに対しては「韓国発ブランドがグローバル市場で確固たる認知と需要を獲得した証拠となっている。偽造品の増加は被害であると同時に、ブランド力の裏返しでもある」と韓国製品のブランド力を高く評価している。
一方で、電子製品・部品に対しては「化粧品やキャラクターグッズと異なり、安全性・品質問題に直結する。単なるブランド価値の毀損に留まらず、消費者被害や国際的な信頼低下にもつながりかねない」と警鐘を鳴らす。
関税庁は模造品による韓国企業の被害を防ぐため、1月5日に中国と締結した「国境段階の知的財産権保護協力のための了解覚書(MOU)」に基づく措置を本格的に推進する。また、偽造品による被害が大きい国を対象に現地の流通実態を調査し、海外関税当局と情報交換を行うなど協力を拡大。韓国企業が参加する官民協議体も設置し、業界の意見を取りまとめる。
■日本のモデルケースに
韓国での対応について、ことぶき特許商標事務所南青山オフィスは「偽造品対策は、ブランド価値を持続的に成長させるための戦略的インフラ。日本企業や日本の知財行政にとっても、韓国の対応はモデルケースとして注目に値する」としている。