金永會の万葉集イヤギ 第79回

歌聖 柿本人麻呂(万葉集の高峯峻嶺の秘密)
日付: 2026年02月03日 11時26分

 131番歌を解いてみる。
船が石見国の高角山の海岸を回り込む。
見送りの人々が、海岸が見えなくなるまで立ち尽くしている。
塩田が見えなくなるまで人々が見送っている。
(※彼の村では塩を作っていた)
たくさんの人々が見送っている。
浦が見えなくなるまで多くの人々が出ている。
絵のような家々と見送る人々。
塩田が見えなくなるまで。
鯨を捕りながら和やかに海辺で暮らす人々が見送りに出ている。
(※村人たちは捕鯨も行っていた)
荒磯に草のように生きる民がいる渡し場の村。
朝に吹く風、夕に立つ波が縁となっている。
ともに生きる彼らは、縁が続いてきた。
世間知らずの妻よ。
露と霜を踏みながら通い続ける村の道。
多くの曲がり一万の階段の山を振り返りながら、大海の向こうの遠い道を行く。
行け。
高角山を越えて夏の荒野に進まねばならない。
気の毒に思い、悲しみ、望むことを記録する。
奮って立ち上がれ。
世間知らずの妻は門を開けて出て、私が行くのをみようと、よろめきながら高角山に走り上がっていく。

歌聖・柿本人麻呂が故郷の村を発って飛鳥へ向かっている。石見国を発って飛鳥に向かっている。交通手段は船であった。
妻と村人たちが彼を見送る情景を描いている。1300年前の古代人たちの見送りの様子が描かれている。石見国は現在の島根県西部地域、船での旅立ちだ。去る人と送る人々の姿が目に浮かぶようでないか。

136番歌だ。
緑の野原を力強い馬蹄の音を出しながら馬が駆け抜ける。
雲が過ぎゆくように速い。
世間知らずの妻が私に向かい合うとき通りすぎるように馬が速く走る。

石見国から船で出発した柿本人麻呂が、飛鳥へとつながる海辺の浦に着いた。そこから馬で飛鳥宮へ向かっている。古代の航路と陸路が書かれている。
 歌聖 柿本人麻呂(万葉集の高峯峻嶺の秘密)                    <続く>


閉じる