ドナルド・トランプ米大統領が再び関税というカードを切った。韓国に対し「関税を25%に戻す」と公に圧力をかけ始めたのだ。ワシントンでは、韓国産自動車・医薬品・木材などを対象とする対韓関税の再引き上げ案を実際に発動するため、連邦官報への登載準備に着手したとの情報まで浮上している。産業通商資源部長官と通商交渉本部長が相次いで米国に向かう中、韓米間の関税交渉は新たな局面に入った。
関税は発言だけでは終わらない。効力を持たせるには、大統領の署名(行政命令)に加え、行政告示や官報掲載といった手続きが必要となる。
米行政府が官報登載に向けた実務を動かしているのであれば、それは単なる脅しではなく、発動を視野に入れた動きと見るほかない。「交渉の余地は残すが、いつでも実行できる準備は整えておく」というシグナルにほかならない。
トランプ大統領の発言も強硬だ。1月29日(現地時間)の閣議では「今よりはるかに高い関税を課すこともできる」と警告し、同日にはSNSでも「いつでも引き上げ可能だ」とのメッセージを投稿した。
背景をめぐっては見方が分かれている。表向きは欧州連合(EU)との対立に言及しているが、米国がEUとの通商摩擦やグリーンランド問題などで戦線を広げる中、韓国を相手に「圧力の見せしめ」を作ろうとしているとの観測も出ている。
ホワイトハウスと米国通商代表部(USTR)も圧力を強めている。「韓国側は合意履行に何の進展も示していない」「韓国が迅速に自らの責務を果たさない状況を、これ以上容認することは難しい(ジェイミソン・グリアUSTR代表)」といった趣旨の発言が伝えられた。交渉用のレトリックを超え、「米国はすでに準備段階に入った」というメッセージを韓国に繰り返し刷り込む構図だ。
争点は「対米投資特別法」
事態が緊迫する中、政府は火消しに乗り出した。カナダに滞在していた金正官産業通商資源部長官は1月28日にワシントンへ移動し、同29日にハワード・ラトニック米国商務長官と会談した。余漢九通商交渉本部長も同29日に米国へ出国した。
今回の対立の核心は「対米投資特別法」にある。政府内では、「合意上、特別法は国会で発議されるだけでも関税を引き下げることになっている」「合意文には特別法制定の期限が明記されていない」との反論が出ている。要するに、米国が法制定の遅れを理由に「約束違反」を主張しているのに対し、韓国側は「立法は政治日程という変数がある」との立場だ。
金容範大統領政策室長は1月28日、「米国の不満は100%、国会での立法遅延にある」と説明した。
現代自の業績が示した請求書
関税問題は交渉の場にとどまらない。企業の業績数字そのものが請求書となる。現代自動車は1月29日の公示で、昨年の売上高が186兆2545億ウォンと過去最高を記録した一方、営業利益は11兆4679億ウォンと前年比19・5%減少したと明らかにした。純利益も10兆3648億ウォンで21・7%減少した。
現代自動車の利益減少の主因として挙げられたのが、米国の自動車・部品に対する25%関税だ。昨年4月から11月まで25%関税の適用を受けたことが、収益性に大きな打撃を与えた。
仮に25%関税が全面的に適用されれば、自動車はもちろん、他の対米輸出品目にもコスト圧力が強まる可能性が高い。政府は米国との交渉を通じ、関税再賦課という最悪の事態を防ぐ方針だが、見通しは楽観できない。米国が法案処理の促進にとどまらず、対米投資の履行時期や規模をより具体的に明示するよう迫る可能性が高いためだ。関税25%は現実となるのか。交渉はすでに始まっている。
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