米中貿易摩擦の激化や保護主義の台頭により、アジア諸国は新たな経済協力の枠組みを模索している。そんな中、韓国SKグループの崔泰源会長が、韓国と日本の深い経済統合を提唱し、注目を集めている。
崔会長は、両国がEUのような経済同盟を形成し、韓日経済圏を構築する構想を描いている。この構想は、両国の経済規模を合わせた約6兆ドルの巨大市場を生み出し、世界第4位の経済ブロックを形成する可能性を秘めている。崔会長のビジョンは、単なる貿易拡大にとどまらず、資源共有や技術協力を通じた持続可能な成長を目指すもの。
崔会長は韓国経済の停滞を指摘し、従来の輸出主導型モデルが限界を迎えていると語る。さらに、「WTO体制下の自由貿易の時代に戻るのは難しい」とし、保護主義の時代に適応した新たな戦略が必要だと訴える。
崔会長の構想の核心は、韓国と日本の「EUスタイル」の経済同盟だ。「CPTPPへの参加は良いが、緩やかな経済同盟以上のものが必要だ。EUのような完全な経済統合が必要だ」とし、具体的に、「韓日間の貿易は大幅に増加したが、貿易だけに頼って共有の経済成長を達成するのはもはや不可能」と指摘。貿易・投資障壁を撤廃する拘束力のあるルールを設け、両国を一つの経済体として機能させることを目指す。 具体例として、崔会長は半導体分野の協力を挙げる。「AIの普及でデータセンター需要が爆発的に増加し、半導体需要も上昇している。両国がこの分野で強みを発揮し、力を合わせれば、新たな成長エンジンになる」と指摘。
エネルギー分野も重要な協力領域だ。「両国は孤立しており、エネルギーを外部から買わなければならない。一緒に購入・貯蔵し、共有するアイデアだ」とし、例として米国産LNGの共同購入などを提案。「取引規模を拡大し、購買力を高めて低価格で確保できる」と説明。さらに、ガス、電力、原子力の共有や、水素技術の共同開発、エネルギー貯蔵インフラの共有を挙げる。これにより、国家安全保障も向上すると強調する。
医療システムの共有もビジョンに含まれる。低出生率に対応するため、医療システムを共有。高齢化社会の両国が、医療資源を統合すれば、コスト削減と効率化が可能だ。
この構想の実現には、歴史的・政治的障壁の克服が必要だが、崔会長の提唱は経済界に波及しつつある。両国が統合すれば、規模の経済を生かし、新たな成長を達成できる。韓日関係の強化に向けた重要な提言として注目に値する。
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「TOKYOフォーラム2025」であいさつする崔泰源会長=昨年11月21日、東京大学安田講堂