万葉集の79番歌は、持統天皇に腹を立てないようにと願う歌だった。
79番歌に込められた当時の事情を見てみよう。
持統天皇を畏れ敬い、生前の功績を美しくまとめて伝えろ。
穏やかだった、罪人の有罪と無罪を裁く際は。
泊瀨川に小さな船が行き通う。
私は小さな船に乗って行く。
川と川の曲流に沿って行けば八十戸もの家が建てられている。
階段のように連なる一万の山を眺める。
白いご飯を持って道を行けば日が暮れる。
泊瀨川と佐保川が合流する所へ向かえ。そこから佐保川を遡ると、青く赤くかがり火を起こしている平城京に至る。
船の上で寝ているうち渡し場に着く。
官服を着た人々が平城京に向かっているはずだから彼らに付いて行け。
夜明けの月が深い夜に澄んで見える。
夜が遅くなると、赤い旗の上に霜が降りる。
岩の多い川が凍る寒い夜。
休まず、藤原京と平城京の間を往来せねばならない。
二人が千回、交代しながら往来すべきだ。
貴人と女人が藤原京と平城京の間を絶えず往来する。
私は奇縁に出会えた。
韓半島の郷歌の研究に生涯を捧げた、韓国の梁柱東博士の墓の前で閃光のようによぎった奇縁を掴んだ。ロゼッタストーンの発見でエジプトの象形文字の解読が可能になったように、その日の閃光は、千年の秘密であった郷歌を解読できる糸口だった。暗闇の洞窟に入る入り口だった。
それは韓半島の郷歌の解読を可能にし、日本の万葉集と日本書紀と古事記の中の歌の正体が分かるようにするものだった。全てが同じ法則で作られていた。郷歌と万葉の文化が、遠く5000年前、古朝鮮で存在していた文化から発源して流れていた。
その文化が日本列島に流れて万葉集の中にそのまま残っていた。その事実を発見したとき、私は心臓が止まる思いだった。
夢の歌飛鳥川は流れる(万葉集第78、79、80番歌)
<続く>