韓国が独自開発した液体燃料ロケット「ヌリ」(KSLVⅡ)は11月27日未明、4回目の挑戦で軌道投入に完璧に成功した。純国産技術で構築されたこのロケットが、夜間発射という厳しい条件下で安定した飛行を見せたことで、韓国の宇宙工学の信頼性が大幅に向上した▼カウントダウンのわずかな遅れを除けば、完璧な成功を収め、韓国航空宇宙研究院(KARI)の技術者が「歴史的な一夜」と称賛した。この打ち上げの鍵は、民間セクターの積極的な関与だ。ハンファ・エアロスペースがプロジェクト全体を統括し、300社以上の国内サプライヤーと連携。発射台インフラはHD現代重工業が独自設計で構築し、主衛星は韓国航空宇宙産業(KAI)が民間として初の完全責任で開発した。これまで政府依存の「オールドスペース」モデルだった韓国宇宙産業が、民間主導のイノベーション駆動型へ移行した転機となった。2024年5月の韓国航空宇宙庁(KASA)設立以降、こうした民営化が加速している▼韓国は、「自国ロケットで自国衛星をいつでも軌道に乗せられる」7大宇宙大国の一員として地位を確立した。ヌリは26年に5回目、27年に6回目のミッションが予定されており、他国衛星の商用打ち上げ「スペースタクシー」市場への参入が視野に入る。課題は、再利用エンジンの実用化とコスト削減、年間10回以上の高頻度運用だ。半導体や5Gで世界をリードした韓国企業の技術が、宇宙でも花開く可能性を秘めている。