脱炭素アプリで個人の行動変容を促す

GX韓日連携の可能性
日付: 2025年11月26日 10時54分

 気候変動危機の加速を背景に、2050年までにCO2などの温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする脱炭素化の取り組みに拍車が掛かっている。こうした中で日本政府は、太陽光や風力、水素などの持続可能なエネルギー源を活用し、地球温暖化の原因となるCO2の排出量を削減する50年カーボンニュートラル(炭素中立)の実現と同時に、新たな経済成長の機会を創出するGX(グリーントランスフォーメーション)戦略を進めている。
その一環として、地域レベルのローカルGXを推進し、地域の脱炭素化と経済活性化を後押しする動きが始まっている。これに呼応する形で、環境ベンチャーのスタジオスポビーは「脱炭素社会の実現には地域住民一人ひとりの行動変容が不可欠」(夏目恭行社長)として、個人の脱炭素行動を計測、見える化し、可視化された脱炭素データを経済的価値に結び付ける脱炭素行動計測アプリ「SPOBY(スポビー)」を開発、個人の行動変容を促す行動変容型脱炭素プラットフォームを社会実装する活動を展開している。

カーボンエコノミーの創出は韓国のモデルケースにも

「SPOBY」は、徒歩や自転車の移動、公共交通機関の利用、マイボトルやリユース容器の活用、家庭での省エネ行動などを計測し、エネルギーを含めた生活全般の個々人の脱炭素行動を可視化・定量化できるスマートフォンアプリである。AI(人工知能)による行動解析技術を搭載し、脱炭素行動を精緻に判定できるため、従来の自己申告型サービスの誤情報リスクを排除し、実際の行動データに基づいて個人のCO2削減量を正確に算定できる点が最大の特徴とされる。
同社では行動起点の脱炭素が拓く新しい経済圏づくりを推進しているが、株式投資型クラウドファンディングによる資金調達を実施し、AIモデルの高精度化やJクレジット化の実証と自治体・企業との連携拡大に乗り出した。
韓国でも50年カーボンニュートラルに向けた取り組みが加速しており、韓国政府は35年までの温暖化ガス削減目標を18年比で53~61%減とする削減目標を決定するなど、脱炭素政策を強化している。また、済州島政府は30年までにカーボンゼロを目指す「カーボンフリーアイランド2030」を掲げ、スマートグリッド、再生エネルギー、電気自動車の導入を進めている。
「SPOBY」による行動変容型脱炭素プラットフォーム構築を目指す取り組みは、韓国の地域脱炭素政策のモデルケースになり、ローカルGX分野での韓日連携にも弾みが付きそうだ。     (篠﨑 晃)

脱炭素行動計測アプリ「SPOBY」


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