私は「富豪」を「現金30億ウォン」と定義する。
この定義は、数十年の時が経てば当然さらに上がっていくだろう。
国ごとの所得水準やGDPによって違うが、現金で30億~50億ウォン程度あれば十分に「富豪」と言える。不動産や株式、債券、暗号資産などさまざまな資産の保有形態があるが、現金化したときにこのくらいの金額があれば、もう収入を得るために無理に働く必要はなく、運用するだけで、十分に人生を楽しめる。またその現金は後世に十分相続でき、人生の終わりを迎えるのに足りる金額だと私は定義する。
私は数百億ウォンの不動産ビル・店舗などの資産と、数百億ウォンの現金・株式・債券・非上場株式などを保有し、病院を4つ、土地を100億ウォン以上、会社を6つも保有するまでになった。その結果、何が起きたのか。
一言で言えば、地獄だった。毎朝7時30分に運転手が迎えに来て、深夜になってやっと仕事を終えて家に帰る。仕事の奴隷、お金の奴隷、人の奴隷になった自分を発見した。自分が幸せになりたくて巨額のお金を稼いだはずなのに、ある日気づけば私は税金の奴隷になっていて、死ぬほど働いて家族と従業員を支えなければならず、まさに”黄金の卵を産むガチョウ”になってしまい、彼らから絶え間なく鞭打たれているような状態だった。
そして休むことなく金融研究を続けた結果わかった「幸せな富豪の基準金額」は、現金30億~50億ウォンで十分だということだった。
このくらいの金額があれば、誰でも死ぬまで毎月1000万ウォン(原資が減らない形で)を受け取れる金融制度やシステムが世の中には無数に存在する。世の中にはこれ以上の金額を持っていながら、金融制度・法律・システムを知らないせいでお金で苦しんでいる人がたくさんいる。あくまで「現金」で30~50億ウォンだ。不動産資産を1000億ウォン持っていても、毎月幸せな1000万ウォンを確保することはできない。ただ税金の奴隷になるだけだ。私は経験を通じてこう学んだ。
(1)見えないお金を持て(2)税金がかからないお金を持て(3)未来のお金を持て。
不動産は代表的な「露出資産」であり、税金の標的資産だ。管理コスト、ストレス、人間関係に致命的な傷を負わせ、人を悪くする根源が不動産資産といえる。不動産資産は換金のスピードが極めて遅く、法律や制度の制約が最も大きい資産であることを知らなければならない。そして最も怠惰な資産形成・保有の形がまさに不動産資産なのだ。
資産の「霊的なエネルギー」が最も悪いのが不動産資産だ。何も持たず生まれ、思う存分幸せを味わって、また何も持たず去るのが人生。死ぬときにお金を持って行く人は誰もいない。それなのに、なぜ必死にお金をたくさん稼ごうとするのか。
答えは「幸せになりたいから」だ。換金が速いお金の形で、自分を最も幸せにできる資産形態を保有しなければいけない。
世の中には無限に金融テクニックが溢れている。問題は、自分がそれを知らないという点だけだ。不動産資産をたくさん持ったり、現金を50億ウォン以上所有し、不幸にならないことを願う。日本の国民所得基準で言えば、現金30億ウォンあれば十分に幸せな富豪として生きられる。結局、生まれてからいつまでに「現金30億ウォンを作るゲーム」をするのか、それが富豪というマイルストーンなのだ。現金だけに集中することが重要だ。不動産の値上がりに乗じて大金を稼げる時代は完全に終わったことを知るべきだ。
今、不動産資産を保有することはすなわち税金の足かせをはめることといえる。お金の規模を作りなさい。それも現金の規模を。必ず時代が、あなたに「保有現金30億ウォンで一生働かなくても、お金がお金を生んで私を幸せにしてくれる方法」を教えてくれるし、自分で探すこともできるだろう。
●千周寧 世明投資戦略研究所代表。1963年韓国例川生まれ。大邱大学経済学科卒業。国立慶北大学MBA経営学修士。現代自動車全国販売王3連覇。四つの総合病院を経営。現在、三つの私募投資組合を保有。著書多数。