今年だけで1100億㌦流出

ウォン安進行 1㌦=1400㌆台定着へ
日付: 2025年11月26日 09時24分

 年初には、ウォン・ドル相場が下半期に向けて安定するとの「上高下低(上期高・下期低)」予測があったが、完全に外れた。年間平均レートが史上初めて1400ウォン台に入る可能性が確実視される。ウォン価値はIMF通貨危機当時の1998年(年間平均1394・97ウォン)より低くなった格好だ。
李在明政権発足直後、相場は1360ウォン台まで回復したものの、9月以降再び1400ウォン台へ急騰。現在は1500ウォン目前となっている。ドルの国内流入より流出がはるかに上回る構造であり、ウォン安の長期化に説得力が増している。
19日、韓国銀行が発表した国際投資対照表によれば、今年9月末基準の韓国の純対外金融資産は1兆561億ドルで、前期比258億ドル増加した。内訳を見ると、国内資本の海外移動が過去最大規模へ拡大した。
内国人による海外証券投資残高は1兆2140億ドル(約1778兆ウォン)で史上最高値を更新。今年1~3四半期の証券投資純流出額だけで603億ドルに達し、年間では800億ドルに迫ると見込まれる。これは過去10年平均(409億ドル)の2倍だ。直接投資の純流出額も300億ドル以上。証券投資(800億ドル)と直接投資(300億ドル)を合わせ、総計1100億ドルが海外へ流出した。つまり、輸出で稼いだドルが、米国株投資や企業の海外工場建設などでそのまま流出している状況だ。企業の海外預金も急増し、9月末には1071億ドルを記録。稼いだドルをウォンに両替せず、海外口座に留める企業が増えている。
具潤哲経済副総理兼企画財政部長官は18日の講演で「国内市場でドルが希少になっている。輸出企業もドルを国内に戻さず海外に預けている」と指摘した。

適正レートは1400ウォン台

専門家らは、韓国経済の構造変化により「適正為替レート」の基準自体が上がったと診断する。従来は経常収支が黒字ならレートが下がる(ウォン高)という図式があったが、今は資本収支と成長率がレートを左右する主要変数になったということだ。今年の韓国の経常黒字は1100億ドルを上回ると見られる。この基準での過去の適正為替は1200ウォン台だが、現在の変化した経済構造では1400ウォン台が妥当との分析が出ている。内国人の海外資本流出が加速し、成長率は1%台、内需低迷が重なるためだ。すなわち現在の高レートは一時的ではなく常数化する可能性が高い。
一方で高レートは韓国経済への副作用が大きい。輸入物価を押し上げインフレを招き、これが金利引き下げを遅らせ、内需低迷を加速させる。さらに外国人投資資金の流出や為替投機の誘発まで懸念される。原油や原材料の輸入依存度が高い韓国の特性上、高レートの固定化は経済を損なう恐れが強い。
現在の外貨準備高は4288億ドルで、直ちに危機を懸念する水準ではないものの、過去に比べ衝撃吸収能力は低下した。輸出入規模の拡大、外国人投資資金の増大などで、より多くの緩衝装置が必要となっているためだ。
専門家らは「300億ドル流出しただけでも市場不安が高まり、為替投機勢力の標的になり得る。外貨準備の管理が重要」と強調する。
一方、政府は来年4月に世界国債指数(WGBI)に編入されれば、年間500~600億ドルが国内に流入が見込まれるとしている。

21日、ウォン・ドル相場は1400ウォン台後半を示している


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