10月30日、韓国・慶州で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の場で、韓国の李在明大統領と日本の高市早苗首相が就任後初の首脳会談を実施した。予定の20分を大幅に超える45分にわたり、両者は笑顔で握手を交わし、互いの文化への親しみを語り合うなど、和やかな雰囲気で会談を終えた▼高市首相は歴史問題をめぐる強硬姿勢で知られ、韓国メディアでは「警戒すべき人物」との声が上がっていた。一方、李在明大統領は左派の急先鋒として、反日スローガンを掲げてきた過去を持つ。思想的に正反対の両首脳が、初顔合わせでどうなるか。懸念の声も相次いでいた▼だが、会談は「実用外交」の名の下に、こうした懸念を払拭する形で進んだ。高市首相は「日韓は互いにとって重要な隣国。今の戦略環境で、日韓関係と日韓米連携の重要性は一層高まっている」と強調。李大統領も「韓国と日本は共通点が多く、未来志向の協力を強化すべき時だ」と話した▼注目されたのは、相互訪問を軸とする「シャトル外交」の積極推進だ。高市首相は「次は日本でお迎えする」と述べ、李大統領も「今度は日本の地方都市で会いたい」と応じた。次回は李大統領の訪日が調整される見込みとなった▼韓日関係は依然としてデリケートである。尹錫悦前政権下で改善の兆しを見せたが、政権交代ごとに揺らぎやすい。会談の成功は表層的なものかもしれないが、それでも両国ともに互いが重要な国であるという認識を共有した結果と言えるだろう。