「2025APEC(アジア太平洋経済協力)CEOサミット」の開催地である慶州が、韓国の最先端技術を披露する舞台へと姿を変えた。大韓商工会議所と韓国電子情報通信産業振興会(KEA)が10月28日から31日まで、慶州エキスポ公園で開催した「K―テック・ショーケース」だ。サムスン電子、SK、現代自動車、LGなど韓国を代表する4大企業が、世界21カ国の首脳と約1700人の要人に向け韓国産業界における未来のビジョンを発表した。
この日、最も注目を集めたのは、やはりサムスン電子だった。サムスンは次世代スマートフォンとされる「トライフォールドフォン(Trifold Phone)」の実機を世界で初めて公開し、会場の注目を一身に集めた。開幕直後からサムスンのブースには人だかりができた。
トライフォールドフォンは画面を2回折りたためる三つ折り型の構造で、折りたたむと6・5インチのスマートフォン、広げると10インチ級のタブレットPCに変化する。既存のダブルフォルダ型より2インチ以上大きい。
サムスンは早ければ来月末にも公式発表イベントを開き、詳しい仕様を発表する予定だ。APECの舞台で初公開したことについては、「技術力への自信であり、フォルダブル市場の主導権を確固たるものにしたい意思の表れ」と見られている。
サムスンと並び世界のメモリー市場を二分するSKグループは、「AIメモリー・ソリューション」で存在感を示した。SKはAIデータセンターと半導体技術を融合した「AIエコシステム統合ソリューション」を公開し、次世代高帯域幅メモリー(HBM4)を搭載したGPU構造モデルをブース前面に展示した。
また、最先端メモリーの実物に加え、ガラス基板や液浸冷却システム、AIアクセラレーター(NPU)などを公開し、AIインフラの競争力を強調した。
現代自動車グループは、水素カーとロボットを通じて未来のモビリティ技術を紹介した。人々の注目を集めたのは、7年ぶりに新モデルとして登場した水素電気カー「ジ・オール・ニュー・ネッソ(The All New NEXO)」だ。次世代モデルと呼ぶにふさわしく、デザインと効率性が大幅に改良された。
さらに、ボストンダイナミクス社の4足歩行ロボット「スポット(Spot)」が会場を自由に動き回り、来場者と交流した。スポットが首をかしげたり足を踏み鳴らしたりするたびに、人々のスマートフォンのフラッシュが一斉に光った。
LG電子は、世界初の無線・透明テレビ「LGシグネチャーOLED―T」を芸術レベルへと押し上げた。77インチテレビ28台を円形に連結して作られた「透明テレビシャンデリア」は、360度のステンドグラス映像による幻想的な演出で来場者を魅了した。会場では「テレビを超え、もはや一つのメディアアートだ」と称賛する声が相次いだ。
この他、SKイノベーションはAPEC期間中、慶州・釜山・浦項を結ぶ水素シャトルバス20台を投入し、環境に優しい水素エコシステムを実証。GSカルテックスは「持続可能な暮らしのためのエネルギー」をテーマに、未来のエネルギー戦略を披露した。
大韓商工会議所側は「K―テック・ショーケースを通じ、韓国企業の最先端技術と持続可能な成長ビジョンが各国首脳に直接伝わった。もはやK―テックが外交力につながる時代が開かれつつある」と期待感を示した。果たしてK―テックは外交の新たな切り札として定着するのか、今後の評価が注目される。
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サムスンの三つ折り型スマートフォン「トライフォールドフォン」