韓米同盟が変わる。米国大統領により「韓半島の非核化」の目標が廃棄された。
トランプ大統領は、アジア訪問に出た10月24日、記者の質問への回答を通じ、北韓は核保有国と明言した。
世界的な原発大国である韓国に対しては、核燃料の濃縮・加工・再処理などを許さなかった米国が、北韓が初核実験をしてから19年後、核保有国と認めた。米国のこの変化が多極化体制を現実と認め、その延長線で韓米同盟の変化の必要性を認めるのかは確実ではない。
トランプ大統領の歩みは不確実性そのものだが、要するに現実を認めた。トランプは、韓国には天文学的な現金と投資を強要、「韓米同盟の共同の敵」の金正恩に秋波を投げる。これに対し李在明は任期内に戦時作戦統制権の早期回復を宣言した。
どの国でも同じだが、克服できない現実や環境に直面すれば従来の原則と路線を変えるのは当然だ。ところが、韓米同盟がこのようにリセットを強いられるとは予想できなかった。
東アジア・韓半島に関して米国の政策が豹変したのは初めてではない。
米国は、第2次世界大戦を共に戦った戦勝国「自由中国」(台湾)を捨て、6・25戦争の主敵・交戦相手だった中共(中国)に対する封鎖を解き、UN安保理の常任理事国と認めた。
もちろん、中国に対する封鎖を解いたのは、東西冷戦で勝利するため、中ソを分断させねばならなかった米国が駆使できた現実的で合理的な選択であり、巨大な戦略だった。
ところが東西冷戦でソ連が敗退、解体され、米国を牽制したライバルが消えるや、米国は国際法に優先する「規則基盤秩序」を強要し、制裁と脅威で国際秩序を導いてきた。しかし、米国の戦略と路線は国際秩序に安定をもたらさなかった。
米国の一方的な強要と脅威は、友好国や弱小国には効果があったかも知れないが、強固な意志を持った敵には通じなかった。韓半島非核化共同宣言(1991年)などは、北韓のNPT脱退と核武装を阻止できなかった。平壌側が核実験に成功(2006年10月)すると、米国は国際的制裁を加えた。しかし平壤を屈服させるには失敗した。敵を屈服させられず、友邦を屈服させようとすれば、米国は信頼を失い、嘲笑を買う。
すでに多極化秩序が始まったが、米国一極体制のみを信じ安住することはできない。
同盟を支配と強制の対象とする米国を韓国は信じられなくなった。トランプ大統領は、国内外に向かって、「彼ら(韓国)は金持ちだ。お金を払わねばならない」と、まるで韓国を米国の保護下の属州と宣言するように言う。
一体今、米国は誰から、何から、韓国を護るというのか。米国の本当の同盟はイスラエルだけではないか。
韓国軍に対する米国の戦作権移譲が順調に進むかは未知数だ。米国は西太平洋において韓国に代わるパートナーとして日本を考えるようだ。高市総理は、日米同盟の新しい黄金期を再び開くと述べた。
今、トランプ大統領のビジョンは確かでない。彼は変わり続ける。トランプ大統領は自ら予告したロシアとのブダペスト会談も取り消した。バイデンの戦争がトランプの戦争になった。
同盟関係において信頼は、パートナーの意志と能力への信頼だ。多くの韓国人は、米国は韓国を同盟と考えるのか、韓国を護る意志はあるのか、護る能力はあるのかを疑う。意志も能力もないのに、同盟と言えるのか。
米国が巨大な借金を抱えたのは、自ら製造業を放棄し、自国の貴重な国富・資源を無駄な帝国主義戦争に費やしたせいだ。米国は50年前も韓国の防衛力建設を牽制した。米国を咎めるつもりなどない。ただ今、韓国は韓国人が護らねばならない。