韓日両国のインバウンド需要は今年、急成長を遂げている。日本は上半期で2151万8100人、年間予測4020万人を記録し、消費額は8兆円超。韓国は558万人(1~4月)、年間1873万人を見込み、KPOPやドラマが若年層を引きつける。両国は豊かな文化力を背景にコロナからの回復をリードするが、季節集中や人材不足が課題となっている。
韓国のインバウンド観光動向
韓国のインバウンド需要は今年急成長を遂げ、1~4月累計で558万人の外国人訪問者を記録し、前年比14・6%増となった。消費額は56億2000万ドル(同18・6%増)と堅調だ。2月単月は113万8408人(前年比10・5%増)、1月から3月は342万人(前年比微増)と安定推移。年間目標は1850万人で、前年比13%増。予測値では1873万人(2019年比7%増)と過去最高を更新する見通しとなった。
中国からの訪問者が全体の28%(529万人)を占め、日本が19%(365万人)、米国8%、台湾7%と続く。10月単月の上位国は中国(39万2000人)、日本(32万3000人)、米国(14万1000人)、台湾(13万3000人)、フィリピン(5万9000人)だ。
Kコンテンツの影響が顕著で、KPOPやドラマが若年層を引きつけ、ソウルの「ユーロモニター2025年世界都市ランキング」は14位(前年26位から12位上昇)となった。年間消費額は24年に164億5000万ドル(前年比9・2%増)、一人当たり支出は約1021ドル、平均滞在は7・5日。今年の旅行・観光市場収益は143億7000万ドルと予測されている。地方分散を強化し、医療観光やエコ観光を促進中だ。25年の日本からの訪問者は365万人(24年推定320万人比14%増)と見込まれている。中国からの団体ビザ免除拡大(3四半期開始)がさらなるブーストとなるとみられる。24年の観光収益は164億5000万ドルで、国内消費を2・5%押し上げる効果があった。
韓国観光公社(KTO)は、2月のデータで中国・日本・米国の増加を強調し、多角化を肯定的に評価している。
日本のインバウンド観光動向
日本は25年上半期(1~6月)に過去最多の2151万8100人の外国人訪問者を迎え、前年同期比21%増を記録した。6月単月では337万7800人(前年比7・6%増)で、月間最高を更新。1~4月累計は1444万6620人(前年比24・5%増)で、コロナ前の19年の水準を上回る勢いだ。7月推計値は343万7000人(前年比4・4%増)。年間では4020万人の訪問者が見込まれ、前年比108・9%、19年比126・1%に相当する。
総消費額は24年で8兆1000億円(前年比38%増、19年比16%増)で、25年も高水準が続く見通し。一人当たり支出は増加傾向で、平均滞在日数は6・1日。政府は30年までに6000万人の目標を設定した。
両国の比較と共通課題
日本(予測4020万人)と韓国(同1873万人)は、アジア太平洋地域のインバウンド回復をリードし、中国需要が両国の成長を支えている。
日本は消費額で優位性(8兆円超)を持ち、多様な自然・文化アセットを武器に欧米からの観光客を吸引。一方、韓国はKカルチャーと安全性を訴求し若年層中心に急伸。両国とも春・秋のピーク集中と人材不足が課題。持続可能な観光に向け、デジタルツール導入と地方投資を進める。両国ともパンデミックツーリズム不況を完全に脱したといえるだろう。