韓国は人工知能(AI)分野でのグローバルな地位確立に向けて大きな一歩を踏み出した。10月1日、サムスン電子とSKグループが、米オープンAIと提携し、AIインフラ構築の巨大プロジェクト「スターゲート」に本格参画すると発表。同時期、韓国政府は世界最大の資産運用会社ブラックロックとAI協力に関する覚書(MOU)を締結。これらの動きは、韓国を「アジアのAI首都」として位置づける政府の戦略を具現化するものだ▼この発表後、サムスン、SKの株価は急騰し、韓国の半導体産業は世界のAI需要を牽引する存在感を示した。ブラックロックのグローバルな資金力とネットワークは、韓国のAIエコシステムを国際舞台に押し上げる起爆剤となるだろう▼一方で外国企業との連携は、国内企業の成長を加速するかたわら技術流出や依存のリスクもはらむ。オープンAIやブラックロックの投資は、技術や市場の主導権を外国に握られる危険性を排除できない。特に、AIや半導体のコア技術が流出すれば、サムスンやSKの競争力が損なわれる恐れがある。また、短期的な経済効果を優先するあまり、国内中小企業の成長機会が奪われる懸念も指摘されている▼韓国はAIインフラのグローバルリーダーとしての地位を固めつつ、一方で技術主権の確保や中小企業支援策の強化が、持続可能な成長のカギとなるだろう。韓国がAI強国への道を歩む中、国際協力と自国産業育成のバランスが、その成否を左右する。