ブラックロックが大型投資

韓国政府とAI協力覚書締結
日付: 2025年10月07日 12時05分

 世界最大の資産運用会社のブラックロックは韓国に対し、人工知能(AI)産業と関連インフラ整備のため、大型投資を行う。韓国をアジア・太平洋地域のAIハブに育成する計画で、韓国政府との間でグローバルAI協力覚書(MOU)を締結した。李在明政権が掲げる「AI三大強国」を目指す戦略が一歩前進した。

 李大統領は国連総会に出席するため渡米した9月22日、ニューヨークでブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)と会談。フィンクCEOは「韓国がアジア・太平洋地域の『AIハブ』になるよう、グローバル資本を連携させて積極的に協力する」と述べた。李大統領は「緊密な協力関係を続け、実質的な成果を生み出したい」と歓迎の意を表した。
また同日、韓国政府とブラックロックの間で、MOUが締結された。韓国のアジア・太平洋地域を代表するAIハブ構築のためデータセンター設置協議を進めるという内容。投資額は非公表だが、関係者によると数兆円規模とされる。
記者会見で大統領室のハ・ジョンウAI未来企画首席は「韓国をアジア太平洋地域でグローバル資本から信頼される拠点国家にしていく。国内企業が参加できる超大型統合プロジェクトを推進する」と話した。
李政権は「AI三大強国」へ躍進することを目標に、AIインフラ構築を進めている。また2030年までに再生可能エネルギーの発電量を2倍以上、送電網を30%増やす政策も推進していく。
ブラックロックの超大型投資計画に対し、早くも呼応する動きが出ている。全羅南道は、海南部のソラシド太陽光発電団地をデータセンター最適地として提案する方針を明らかにしている。同発電団地は豊富な太陽光・風力など再生可能エネルギー資源と安定的な用水、大規模敷地を備えている。今後、全羅南道はデータセンター誘致に参加できるよう韓国政府に要望する。
ブラックロックは約12兆5000億ドル(約1851兆円)の資産を運用する世界最大の資産運用会社。世界2位の経済規模である中国の国内総生産(GDP)19兆2300億ドルには及ばないが、3位のドイツのGDP4兆7400億ドルの倍以上となっている。現在、マイクロソフト、エヌビディア、エックスエーアイなどとともに、AIインフラパートナーシップ(AIP)を構成し、グローバルAI、再生エネルギーへのインフラ投資を主導している。
韓国にAIデータセンターが設置されれば、国内の半導体産業やクラウドサービス事業者との連携が強化され、周辺産業にも波及効果があると見込まれる。研究開発スピードを速め、スタートアップ企業の成長を促進する可能性もある。
一方で、大規模データセンターは膨大な電力を消費するため、環境負荷やエネルギー供給の安定性が課題になる。投資資金の外資依存が高まると、投資判断や国際情勢によって戦略の大幅な変更を余儀なくされるリスクが指摘されている。


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