高永喆 韓半島モニタリング 第55回

大韓民国の底力 でたらめ政権の誤判
日付: 2025年10月07日 10時34分

 最近、韓半島を巡る地政学的な懸念が高まっている。一部の専門家は、大韓民国が中国と北韓という大陸勢力に「食われる」危険があると警告している。
この懸念の背景には、常識外れのでたらめ政権の誤った判断と路線が深く根づいていることは周知の事実だ。
特に、大多数の国民の反中情緒と世界的な流れに逆行する李在明政権の露骨な親中路線は、韓国国民の安全保障と国益を深刻に毀損している。韓国は決して大陸勢力の影に閉じこめられたり、北韓に従属することができない。その理由は、韓半島が持つ地政学的本質と韓民族の強力な底力にある。

◇歴史は「海洋勢力」の勝利を証明


韓半島は大陸勢力(中・露・北)と海洋勢力(韓・米・日)の利害が衝突する戦略的要衝地である。世界一の造船産業を誇る韓国は、固有の海洋勢力国家である。38度線を中心とした休戦ラインはサッカー場のセンターラインと同じだ。戦略家のマハン(Mahan)は「大陸国家は永遠に海洋国家として両立できない」と喝破した。
世界史を振り返ってみると、ローマ帝国を筆頭にポルトガル・オランダ・スペイン・英国・米国に至るまで、世界中を支配してきたのは常に海洋勢力だった。冷戦時代、大陸国家であるソ連が海軍力増強に没頭したが、結局のところ米国との軍拡競争で国力が衰え、15カ国に分離・解体される歴史をたどった。専門家らは今、海軍力増強に血眼になっている中国も同じ運命、つまり「四分五裂」の道を歩むしかないとみている。北韓の金正恩が「日本には100年の恨みがあるが、中国には千年の恨みがある」としているほど、中国は韓半島侵略を繰り返し試みてきた。このような歴史的・地政学的な観点から見ると、現在の韓国が進むべき道は明白だ。世界最大最強の戦力を持つ米国との韓米同盟を「心強いバック」とし、海洋勢力の一員としての地位を強化しなければならない。
「反米路線」の文在寅が中国訪問の際に一人で食事をし、随行記者が暴行された外交惨事の教訓を、今の李在明政権は肝に銘じなければならない。在韓米軍の撤収と韓半島の赤化統一は、地政学的な流れからも歴史上あってはならない。

◇権力に立ち向かう反骨精神

 韓国が北韓に通用しないという主張は、単なる希望的観測ではない。韓国は経済規模で北韓より50倍以上豊かな自由市場経済体制の充実した模範国家であり、西側陣営の最前線に立っている。国力が一夜にして崩れるはずはない。さらに重要なことは、韓国民族の独特な国民性だ。韓国国民は歴代大統領を亡命・暗殺・自殺・懲役に追い込み、理念と与野党に関係なくごまかし・でたらめを行ってきた政権は、必死に崩してきた前例がある。強力な反骨精神と底力を持つ民族性なのだ。
米国デンバー大学のエリカ教授は、「全国民の3・5%が外に出て大声で叫べば、その政権は自動的に下野するのが正常だ」と主張した。韓国国民は不義と絶対に妥協しないという構造を持つ。韓国の風土は外来文化が流入すると元のものより強くなる「慣性」を持っている。儒教・仏教・キリスト教がすべて発生地よりも固有の宗教として韓国に定着された。さらに、北韓も共産主義宗主国のロシア・中国よりも強く特異な共産主義に変質・定着した。日帝強占期にも、愛国志士たちが中国があえてできなかった要人暗殺を敢行したように、我が民族の反骨気質は逆境の中でより一層強く燃え上がるのである。最近の事態がこれを傍証する。国民の大規模な反対世論に直面して逮捕2日後に釈放された李眞淑放送通信委員長の逮捕事件や、身元不明で正体不明の金ヒョンジを第1付属室長に任命するなど、偽政権の常識外れの行動は、国民の怒りに油を注いでいる。因みにCIA分析官マイケル・キムは公開ファイルで〝金ヒョンジは金正日の正妻、金英淑の娘であり、1974年生まれの金雪松が金ヒョンジだ〟とし、SNSで拡散されている。
でたらめなごまかし政権は、結局のところ韓民族の底力・粘り強さ・根性と反骨精神に火をつけ、大爆発を起こすだろう。
国民を欺き、国益を損なう政権は、悲惨な結末を避けることはできない。韓国は地政学的な強みを持って自由民主主義と市場経済を守り、韓米日同盟を堅固にし、北東アジアの平和と繁栄を導かなければならない。これが歴史の大勢であり、どの政権もこの流れに逆らうことはできない。

高永喆(コ・ヨンチョル)
拓殖大学客員教授、韓国統一振興院専任教授、元国防省分析官。著書に『金正恩が脱北する日』(扶桑社)など。


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