民団、10月マダン開始

地域とつながる秋のまつり
日付: 2025年10月07日 09時58分

 5日、在日本大韓民国民団の主催する「10月マダン」が群馬県地方本部(趙武雄団長)からスタート。韓日国交正常化60周年行事との兼ね合いから、マダンに代わるイベントを展開した地域、後に行う地域もある。すでに行事を終えた地域の現況を伝える。

群馬でセミナーと公演

 群馬県太田市のロイヤルチェスター太田で5日、民団群馬県本部は「韓日交流10月マダン」を開催。団員を中心に関係者約40人が集まった。
民団群馬のマダンは、経済セミナーと韓国伝統公演の2部構成で行われた。国民儀礼・黙とうを行ってから、趙武雄団長がセミナーの登壇者2人を紹介した。

■コメ問題と健康で講演

はじめに、金成㙾・石川県立大学名誉教授が「世界とつながる日本のお米~米価高騰と未来を考える」と題し講演を行った。
 金名誉教授は農業経済学が専門。韓日が人口減少にある中でも、世界規模では人口が爆発的に増えている現状にある。講演を通じて、「令和のコメ騒動」などと呼ばれる最近の日本のコメ価格高騰は、(1)日本の過多なコメ輸入の歴史的背景(2)国内的なコメ農家への政策や世界の貿易環境の変化(3)輸出先としてアジア圏などへの販路拡大可能性―といった背景・課題を抱えているとした。


続いて、李範爽・群馬大学大学院保健学研究科教授が「高齢者のためのリハビリ~いつまでも元気に暮らすために」と題して講演を行った。
 李教授は作業療法士の資格を持ち、リハビリが専門。講演を通じて、(1)健康な身体を維持するための運動と栄養(2)健康な心を保つための睡眠(3)健全な社会生活を営むための外出や経済活動―を高齢者が意識して持続的に取り組める環境の整備が重要とした。
講演の中では介護が必要とされる高齢者への具体的な対応について、一つひとつ丁寧に取り上げられた。
セミナーを終えてから趙団長は、「登壇して頂いた、2人の先生と民団群馬がつながりを持っていることは大きな財産。民団の役割として〝在日を守る〟のはもちろんのこと、地域とのつながりや安全をこれから大事にしていかなくてはならない」と所感を述べた。
経済セミナーの終了後、会場は食事を交じえながら、韓国伝統芸能グループ「コルム」による公演の舞台に移った。

■全国で順次マダンが開催

10月マダンは全国の民団地方本部でもれなく開催されている訳ではなく、規模なども地方ごとに様々だ。今年は韓日国交正常化60周年行事との兼ね合いから、マダンに代わるイベントを事前に展開していた地方本部もある。
民団栃木県本部(禹春彦団長)では、10月マダンの開催を4月の「とちぎ韓流フェスティバル」(5000人来場)の規模拡大で代替した。
民団奈良県本部(李勲団長)では、9月20~23日、3泊4日の日程で韓国忠清南道を訪問するイベントを執り行った(団員を中心に関係者30人が参加)。
民団新潟県本部(鄭和仁団長)は共催のかたちで9月26日、駐新潟韓国総領事館主催の「韓日ハンガウィ祭りin新潟」(1600人来場)の開催を例年サポートしている。

9月26日、りゅーとぴあコンサートホールで開催された「韓日ハンガウィ祭りin新潟2025」に約1600人が来場した(駐新潟大韓民国総領事館提供)

 

民団新潟の洪生子事務局長によると、ポジャギ作家の李京玉先生の作品展示・伝統手芸コーナー・来場者へのソンビョン(秋夕の際に食べる伝統的な餅)プレゼントなどを民団として計画したとのこと。
韓国の伝統文化と、最近の韓流人気が融合・直結したイベントを全国規模で展開できる組織的な基盤は、民団の各地方本部が担い続けているメリットとして、認識しておくべき点だろう。
今週末の11~13日の3連休中には、山形・茨城・長野・大阪・鳥取・徳島・香川など民団各地方本部で10月マダンとして多彩な行事が開催される予定となっている。

 

5日、民団群馬県本部の10月マダンで韓国伝統芸能グループ「コルム」が「アリラン変奏曲」を演奏


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