国会で可決した「黄色い封筒法(労働組合法改正案)」の余波が続いている。米自動車メーカーGMの韓国撤退説が再浮上してきたのだ。GMは韓国内の次世代自動車開発プロジェクトを中断し、主な研究施設まで休業するなど、看過できない動きを見せており、「撤退間近」との声まで上がっている。
GM撤退説は単なる臆測ではなく、具体的な状況で裏付けられている。韓国GM傘下の研究開発組織GMTCKが、40%ほど進捗していた小型電気自動車(EV)開発プロジェクトを最近、米国本社の指示で中断したことがその代表的なケースだ。当初の計画通りなら2026年から量産を開始できたが、未来の可能性を失ったことになる。
兆候はこれだけではない。新車開発の心臓部である青羅の走行試験場が「稼働停止状態」に入った。さらに全国9カ所の直営サービスセンターの売却が決まり、業界ではGMが韓国事業を縮小、あるいは整理する手順に入ったとの見方が強まっている。
「引き金」となった黄色い封筒法
韓国内メディアは、GMが慢性的な高コスト構造と強硬労組問題で投資を敬遠してきた状況下で、「黄色い封筒法」の可決が撤退決定を早める「引き金」になったと分析する。
「違法ストライキに対する労組の損害賠償責任が事実上免除され、GM本社が韓国の労使リスクを『到底容認できない水準』と判断するに至った」(韓国経済、9月26日付)。
ヘクター・ビジャレアル韓国GM社長も、法案通過以前から「本社で韓国事業所に対する見直しが行われる可能性がある」と述べていた。
輸出環境の悪化も問題だ。販売量の80%以上を輸出に依存する韓国GMは、本社系列でありながら生産地が韓国であるため、米国輸出時に関税を負担する。こうした状況下での黄色い封筒法可決は「泣きっ面に蜂」だと言える。明知大のチョ・ドングン名誉教授は次のような見方を示す。
「GMは韓国市場で販売不振に苦しみ、米国への輸出では関税を課される厳しい状況にある。そこへ黄色い封筒法は決定打となった。現代自動車は韓国に根を下ろしているため反企業的法律に苦しんでも耐えるしかないが、韓国GMは撤退すれば済むのだ」
産業銀行との10年契約
GM撤退を断定できる裏付けはまだない。昌原工場は正常に稼働中であり、18年に産業銀行と結んだ「10年間事業維持」の合意も27年末まで有効だ。産業銀行は韓国政府が100%出資する国策銀行である。だがこの約束の法的拘束力は薄れている。未来の動力とされた電気自動車プロジェクトは中止、研究開発の心臓だった試験場も止まった。そこへ黄色い封筒法可決という逆風まで加わり、GMの韓国事業の持続可能性に疑問符がついている。
企業と資本は国境に縛られない。大きな利益を求めて投資先を移すことができる。その意味で黄色い封筒法は「韓国は企業活動が難しい国」という汚名を招いた悪手だ。今回の事態がGMだけにとどまらず、他の外資系企業の「脱韓国」への広がりが懸念される。
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輸出のため船積み待機中の韓国の自動車
(京畿道平沢港)