イスラエルのカタール攻撃(9日)が、中東を越え国際秩序全般に巨大な波紋を起こした。サウジアラビアが17日、パキスタンと相互防衛条約を締結した。この防衛条約ではパキスタンがサウジに核の傘提供を明言したのが核心だ。カタールのドーハで開催(15日)された「アラブーイスラム特別首脳会議」の2日後のことだった。
特別首脳会議には、アラブ連盟諸国とイラン、マレーシア、パキスタン、インドネシアなどイスラム協力機構加盟国など約50カ国が参加した。カタールは、イスラエルの国家テロと主張した。エジプト大統領は、イスラエルを敵と規定した。イスラエルを敵と呼んだのは、イスラエルとの平和条約締結(1979年)後初めてだ。
サウジがパキスタンと防衛条約を結んだのは、中東からの米国や欧州産武器退出を意味する。匿名のサウジ官吏は、「リヤドは米国や欧州産武器を信頼しない。イスラエルのカタール空襲で確認されたように、米国産武器が機能しない事態を憂慮する」とした。カタールとUAEもパキスタンによる核の傘を求めている。
今、国際社会の潮流はパレスチナの国家承認だ。決定的な契機はイスラエルを作り出した英国の態度変化だ。PLOの議長がパレスチナ独立を宣言した88年、80カ国ほどが支持した。
2014年以降、グローバルサウスの大半がパレスチナを承認しても米国など西欧諸国は平和協定の先行を主張した。だが、イスラエルのガザ地区でのジェノサイドが発生(23年)するや、国際社会のパレスチナの支持は大勢となった。米国はイスラエルに対する盲目的な庇護を止めねばならない。