韓国政府は2030年までに首都圏に新規住宅135万戸を供給する。李在明政権初の住宅供給政策となる。迅速に供給するため、韓国土地住宅公社(LH)が造成した公共住宅用地を民間事業者に売却することなく直接施工するほか、都心の老朽施設や遊休地なども最大限活用。供給量を十分確保することで住宅価格の高騰を防ぎ、市場の安定化を目指す。
政府が7日に発表した指針によると、首都圏の住宅供給不足を解消するため、来年から年平均新規住宅27万(ソウル6万7000)戸を着工し、30年までに計135万戸を供給する。このうち79万戸は既存計画によって供給される物件であり、今回の計画で56万(ソウル14万)戸が増加する。
過去の住宅政策では認可ベースだったが、今回は実際の「着工」数量を基準とした。着工は数カ月以内に分譲が進み入居に直結することから、信頼性が高いと判断したため。今回の計画は着工ベースでみると、過去10年間の平均である25万8000戸を上回る水準になる。
まずLHが首都圏に保有している19万9000戸規模の公共住宅用地に、30年までに6万戸を着工する。ソウル市永登浦区汝矣島の聖母病院付近の遊休地や第3期新都市などが対象になるとみられる。
老朽化した住宅・施設・遊休地などの再開発については、ソウルの主要立地にある竣工30年以上経過した公共賃貸住宅を再整備し、30年までに2万3000戸を着工する。国土交通部によると、首都圏内の竣工30年以上が経過した長期賃貸住宅は24年基準で8万6000戸であり、10年後には16万9000戸まで増える予定。また老朽化した公共庁舎、国有地などを再整備し、30年までに首都圏に2万8000戸の住宅を建設する。
さらに都心部の学校、未使用の学校用地、廃校敷地などを活用して公共住宅、教育施設、生活SOCなどを複合開発し、30年までに3000戸以上の着工を目指す。
投機的売買を防ぐため、規制地域の不動産価格に対する借入金の割合(LTV)を強化し、土地取引許可区域の指定権を拡大するといった需要管理も行う。
国土交通部の金潤徳長官は「国民が必要とする場所に自宅を持つ機会を拡大し、求める場所に良質の住宅を十分に供給することに全力を尽くす」と述べた。
今回の住宅供給政策について金融関係者は「中長期的に政府の強力な住宅供給意志を示すことで、住宅購入希望者の不安感を払拭できるだろう」と評価している。
一方、不動産業界関係者は「LHが住宅を安く供給する場合、赤字が深刻化する可能性があり、これに伴う負債は国民の税金で埋める可能性がある」と述べる。また「老朽施設と遊休地の活用は、過去の住宅政策で何度も計画されたが、実現できなかった。住民が反対した場合、どのように解決を図るかという対策が不十分だった」と懸念を示している。
別の不動産業界関係者は「十分な住宅供給と適切な規制がバランスを取ったときに価格安定効果が現れた。首都圏に十分な供給が実行できるかが市場安定のカギを握っている」と指摘している。