韓国の代表的な株価指数であるKOSPIが、45年ぶりに史上最高値を更新した。米国発の人工知能(AI)ブームと半導体市況の回復が重なった結果だが、市場の評価は必ずしも楽観的ではない。
今回の上昇が半導体という特定の産業に依存した「偏り現象」という限界が浮き彫りになったからだ。証券業界では、これを機に韓国株式市場の「持病」ともいえる「コリアディスカウント」を解消する抜本的な体質改善が急務だとの指摘が出ている。
半導体市況がラリーを牽引
今回のラリーを主導したのは半導体であった。AIサーバー用HBM(高帯域幅メモリー)の需要が急増すると、外国人投資家はこの2カ月間でサムスン電子やSKハイニックスなどの半導体株を9兆円超買い越した。少数の大手半導体企業への集中買いがKOSPI全体を押し上げたのである。グローバルAIラリーの最大の恩恵を必須メモリー供給で得たのが韓国企業であることが立証された格好だ。
加えて政府の「企業バリューアッププログラム」が体質改善への期待を高めた。不透明なガバナンスと低い株主還元率で慢性的な低評価に苦しんできた韓国企業が変わるかもしれないという希望が、株価に先行反映されたと分析されている。
ファンダメンタル改善がカギ
しかし海外の機関は韓国株式の上昇持続性に慎重な立場を崩していない。ブルームバーグ通信は「韓国政府のバリューアッププログラムが投資家心理を改善したのは事実だが、低い配当性向や不透明なガバナンスなどの構造的問題が依然として『コリアディスカウント』を生んでいる」(9月9日付)と指摘した。日本経済新聞も「韓国株式は少数の大手半導体企業への依存度が過度に高く、特定産業サイクルにより市場変動性が大きくなる」と評価した(9月10日付)。
抜本的な構造改革が必要
マクロ経済の展望も暗い。国際通貨基金(IMF)は7月、韓国の成長率が今年0・9%、来年は1・6%にとどまり、潜在成長率を下回ると予測した。ムーディーズなど国際格付け会社も高い家計債務や急速な高齢化、内需不振を構造的リスク要因に挙げた。
結局、課題は再び企業と政府に委ねられる。企業はバリューアップを通じ株主価値を引き上げ、大胆な投資と改革で新たな成長の原動力を開拓しなければならない。株価はファンダメンタルの影でしかない。
基礎体力の改善なき株価上昇は砂の城に過ぎないというのが歴史の教訓である。
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10日、汝矣島の韓国証券取引所電光掲示板に表示されたKOSPI終値指数。この日、KOSPIは45年ぶりに3300ポイントを突破した