コメ価格が急騰している。大手スーパー基準で20キロの小売価格が6万ウォンを超え、一部地域では7万ウォン~8万ウォン台で取引されるケースも出ている。
統計庁によると、8月のコメ価格は1年前より11%上昇し、19カ月ぶりに最大の上げ幅を記録した。消費者物価上昇率が2%前後であることを踏まえると、まさに暴騰だ。飲食店のメニュー価格に波及しかねないとの懸念が出ている。
問題は、実際にはコメが不足していないという点だ。政府の備蓄庫には111万トンを超えるコメが積まれているにもかかわらず、市場ではコメ不足という皮肉な状況が起きている。結局、価格不安の根源は政府の誤った需給予測と市場介入だとの指摘が出ている。
昨年のコメ生産量は366万トンで、予想消費量より12万トン多かった。それでも政府はコメ価格の下落を懸念し、36万トンを備蓄用に買い入れ、市場調整の名目でさらに26万2000トンを追加で買い入れた。農家の所得安定のための過剰な買い入れが、逆に市中流通量を減少させ、コメ価格の暴騰を招いた格好だ。
実際、4月末基準で産地流通業者のコメ在庫量は71万トンで、前年より21万トンも減った。政府は遅ればせながら保有量3万トンを放出し、割引販売拡大に乗り出した。しかし新米が出回るまでは価格安定効果は限定的だとの見方が出ている。
隣国・日本のコメ価格暴騰は格好の教訓だ。日本は昨年、記録的な不作に見舞われ、今年に入りコメ価格が急騰。スーパーでは「1世帯1袋」の購入制限がかかるほどだった。日本人観光客が韓国のスーパーでコメを購入し、スーツケースに詰めて帰るという異例の光景まで見られた。
コメの余剰により生産農家に支援金を支給する法律(糧穀管理法)まで作ったが、消費者は政府の誤った需給管理によって、高値でコメを購入せざるを得ない状況に追い込まれた。コメは韓国人の主食であり、数少ない自給可能な食糧である。正確な需給予測に基づき、必要に応じて備蓄米を段階的に放出するなど市場の衝撃を和らげる「きめ細かな管理」が求められる。