中国の「戦勝節」行事にプーチン大統領と金正恩が出席する。李在明政権とトランプ大統領が金正恩に秋波を送っているが、平壌側は冷淡だ。金正恩は、ウクライナ戦争を契機にロシアと同盟関係を構築し、露・中の助けで国連の対北制裁から解放された状況で、内戦状況の韓国と米国の内政上の混乱に加え、葛藤と矛盾を抱えながらも韓米日共助で北の非核化を叫んでいる韓米との接触に出る必要がない。大西洋同盟は瓦解している反面、露・中・北などの結束は強くなっている。
米国の一極体制が崩壊、国際社会が巨大な地政学的変化に入った。ウクライナ戦争で敗北したEU諸国は、ロシアとの戦争のための再武装を宣言したが、数十年間もヨーロッパを守ってきた米国との葛藤が深まっている。グローバルディープステート勢力の抵抗など複雑な現実政治に直面したトランプ大統領は、米国の主導権回復を狙って関税戦争など世界を不安定の中に追い込んでいる。
中国は習近平主席の権力基盤が不安定という西側の観測と期待にもかかわらず、巨大な経済力と軍事力を背景に西欧中心国際秩序の再編に出ている。ウクライナ戦争の消耗戦で勝利したプーチン大統領は、NATOの解体を目標に西欧との全面戦に備え中国と共にグローバルサウスを結束させている。
ウクライナ戦争の最大の受益者となった金正恩は、10年前の中国「戦勝節」行事の際、韓国の朴槿惠大統領が立った、天安門の望樓の中央を奪還した。金正恩は、韓国を「同族ではなく交戦中の敵対国」と規定、一切の接触を禁じているが、内部では分断80年間の対南赤化路線を維持している。
中・露は、EUの軍事同盟化に対抗、上海協力機構(SCO)の軍事機構化を推進している。中国は米国の核軍縮提案を一蹴、核兵器の拡充に全力を傾けている。中国は今回の「戦勝節」を通じて一帯一路およびグローバルサウスの求心的存在を確認している。
今回の「戦勝節」の行事には国家元首級が26人出席する(ロシア、北韓、カンボジア、ベトナム、ラオス、インドネシア、マレーシア、モンゴル、パキスタン、ネパール、モルディブ、カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギスタン、アルメニア、イラン、セルビア、スロバキア、キューバ、ミャンマーなど)。中国と陸地で国境を接している14カ国、海で接した6カ国のうち、12カ国の首脳が出席する。特にNATO加盟国のスロバキアのフィツォ首相も出席する。テュルキエのエルドアン大統領はNATOを意識しSCOにだけ参加。インドのモディ首相もSCOにのみ出席した。
プーチン大統領は、第2次世界大戦中、ソ連と中国がナチズムと日本軍国主義を撃破するため助け合ったと話した。
ソ連は1937年10月から41年6月まで、中国に航空機1235機、野砲数千門、機関銃、弾薬など補給品を供給したと回顧、45年の満州への攻勢作戦は、中国北東部の解放に決定的な役割を果たし、極東地域の情勢を劇的に変化させ日本の降伏を導いたと述べた。
プーチン大統領は、ロシアと中国からの仮想的脅威を名分に、日本の軍国主義とドイツを含むヨーロッパの再武装が推進されていると指摘した。
ナチスを継承したNATOがアジアに拡張を目論んでいる状況を警告したのだ。プーチン大統領は、露・中が署名した新時代の露・中包括的な戦略的協力同伴者関係共同声明は、戦後に確立された世界秩序と対話の原則をいわゆる「規則基盤秩序」に置き換えようとする試みに対する対応を盛り込んでいると述べた。
金正恩はロシア派兵戦死者たちのための「国家表彰授与式」を2回(8月21日101人、29日242人)開催、派兵軍人と戦死者の遺族を表彰、慰めた。
一方で李在明政権は現役の4星将軍7人全員を同時に退任させ、国軍の指揮体系を崩壊させ、天安艦爆沈事件後に再開した、対北心理戦放送の「自由の音」放送を8月31日に中断した。