「韓米造船同盟」発足

成否のカギ握る技術の現地化
日付: 2025年09月02日 09時46分

 8月26日(現地時間)、李在明大統領は米国訪問の最終日、ハンファオーシャンが買収したフィラデルフィアの「フィリー造船所」を視察した。今回の訪問は、米国の製造業復興政策と韓国の造船技術力が結合した「韓米造船業協力」の象徴だ。しかし、この「チャンスの海」を航行するためには、米国特有の高コスト構造という現実的課題を乗り越える必要がある。
ハンファが米国造船所を買収した最大の理由は、「ジョーンズ法(Jones Act)」で強固に保護されてきた米国内需市場への参入だ。ジョーンズ法は、米国港間を航行する船舶を”米国産”に限定する法律だ。そのため、世界トップレベルの技術を誇る韓国造船業界でさえ米国市場には参入できなかった。
しかし、2024年6月にハンファがフィリー造船所を買収したことで、この強固な障壁を突破。これにより、商船建造だけでなく、米海軍艦艇や官公庁用船舶の整備・建造といった高付加価値分野での受注のチャンスも確保した。
韓国の世界最高水準の造船技術と、世界最大市場である米国が結びつき、「韓米造船同盟」が本格的に始動した形だ。
とはいえ、すべてが順風満帆とはいかない。ハンファ・フィリー造船所の成功は、米国造船業が抱える「高コスト構造」という慢性的課題を克服できるかどうかにかかっている。米国造船業は韓国に比べて人件費が極めて高く、生産技術者の熟練度も相対的に低い。生産性・収益性の両立が難しいという現実がある。つまり、米国市場への進出は大きなビジネスチャンスである一方、巨額損失リスクも背負う可能性があるということだ。
結局のところ、「韓米造船同盟」の成否は、「チャンスの海」というビジョンと現実の課題をいかに効果的に解決するかにかかっている。
政府の外交的支援に加え、ハンファが持つ先端生産管理技術を現地に最適化するローカライゼーション戦略が成功のカギを握る。こうした努力が相乗効果を生めば、今回の投資は韓米同盟の新たな地平を切り開く歴史的転換点として記録されるだろう。

ハンファ・フィリー造船所で演説する李在明大統領


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