韓日国交60年~地域に根づく草の根交流〈栃木編〉

「少年柔道大会」親善のモデルに
日付: 2025年08月15日 00時00分

 栃木県日韓親善協会(青木勲会長)は1977年12月18日に設立総会を開催、当時の日韓協では49都道府県中、最後のスタートだった。しかし半世紀の時を経た今日にあって、他の追随を許さない民間交流の拠点へと成長を遂げた。韓日の相互開催で執り行う柔道を通じた交流大会を両国で20回以上開催。青木会長の先代から数えると、40年以上の交流実績が継続している。国交正常化60周年を迎え、地域における草の根交流のロールモデルとして、特別な意義を持つ大会へと発展した。

 

1日、ユウケイ武道館で開かれた「第23回日韓親善少年柔道交流大会」第2試合で激突した六将の金時佑選手㊨と木島貴大選手

 

 栃木日韓協の招請を受け来日した、韓国の高陽特例市柔道会(李成洙会長)の選手団30人は7月31日、栃木県の関係各所を表敬訪問した後、北関東綜合警備保障(青木靖典代表取締役社長)社内での歓迎レセプションに参加した。


宇都宮市内のユウケイ武道館で1日、「第23回日韓親善少年柔道交流大会」を開催。関係者約150人が一堂に会し、熱戦を見守った。
韓国選手20人と、日本選手40人が2回にわかれ対戦(例年、開催国側の選手の試合は1回で、訪問国側の選手たちは2回戦う)、栃木県の柔道や国際交流を担う関係者らも大会を観戦した。
第1試合を終えた後、インタビューに応じた韓国の安讚奕選手は日本選手と手合わせした感想として「(対戦した岡本侑士選手は)技巧に優れていた。韓国の柔道では相手の懐に入り込むため、拳を素早く突き出しつかみかかろうとするが、日本の柔道は袖から掬い上げるように技へと持ち込もうとする違いがある。いろいろな選手とまた手合わせしたい」とした。
日本の岩本大輝選手は「(対戦した金利厚選手が)力の強く身長も高い相手だったので、今後似たような選手と対戦するときの学びが得られた」とし、「昨年は韓国での大会で2戦とも負けてしまい、今日はリベンジできたことを喜んでいる」と語った。また、「言葉は通じないが、同じ世代・柔道を愛好する者同士なので今後もコミュニケーションを図り、韓国選手と友好を深めていきたい」と話した。
総合成績は、第1試合が511、第2試合が153で、いずれも日本側が勝ち越した。石山隆英・全日本柔道連盟大会事業委員会委員は、「一試合一試合をみれば圧倒的に日本が優位に進められた試合展開だったわけではなく、韓国選手たちの技が光る場面も多かった。栃木で柔道を通じた日本と韓国の交流が長年続いていることの方が、試合結果より重要だと考えている」と述べた。
高陽市柔道会との交流が始まり、柔道を通じた青少年大会が開設された当初から観戦を続けているという金一雄・在日本大韓民国民団栃木県地方本部常任顧問は、「地域で始められた韓日親善として、どこにも負けない交流の深さを有している。栃木日韓協が先代から事業を引き継ぎこの大会を大事にしてくれていることに感謝している」とした。


韓国選手団は3日の帰国前に、栃木日韓協や民団栃木主催のレセプションに参加したほか、栃木の伝統工芸である陶器作りなど観光も楽しんでから帰途についた。

1993年7月29日に行われた「第4回日韓親善青少年柔道交流大会」での試合の様子(栃木県日韓親善協会提供)


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