女流詩人・許蘭雪軒をテーマに

韓国国立バレエ団が日本初上演
日付: 2025年07月31日 11時21分

 東京シティ・バレエ団主催の日韓国交正常化60周年記念公演「ショルツと韓国振付家」が7月12日、東京・ティアラこうとう大ホールで開かれ、韓国国立バレエ団が上演時間約1時間の大作『ホ・ナンソルホン(許蘭雪軒)スウォルキョンファ(水月鏡花)』を日本で初披露し、会場から大きな拍手を浴びた。
朝鮮時代中期の著名な女性詩人、許蘭雪軒の人生と彼女が残した二つの詩をモチーフに、韓国伝統楽器の演奏を取り入れて表現した作品で、一人の女流詩人の薄幸な人生を表現した舞台に観客は魅了された。
許蘭雪軒は幼い頃から詩の才能を発揮し、恋愛をうたった「游仙詩」や、女性差別的な儒教道徳を批判した詩などを発表した。15歳で結婚するが、夫は彼女の詩の才能を認めず、姑からも虐待を受けた。2人の子供も病気で失い、また家の経済環境も悪化する中、27歳で持病のため亡くなった。儒教思想の強い朝鮮時代、女性ゆえに詩は正当に評価されなかった。しかし中国では「許蘭雪軒集」が刊行され、日本でも詩が紹介された。韓国では解放後に再評価の動きが出て、その名前と美しい詩が広く知られるようになった。現在、許蘭雪軒は韓国の文学史において重要な存在となっている。
今回、韓国とのバレエ交流を長年続け、韓国人ダンサーの受け入れも行ってきた東京シティ・バレエ団の尽力によって、韓国国立バレエ団の貴重な作品を日本で上演できた。第2部では東京シティ・バレエ団の「ジュノム」も初演され、韓日バレエ団の力量の高さを示した公演となった。
カーテンコールでは両国ダンサーが登場、スタンディングオベーションを受けた


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