韓日国交正常化60周年を迎え両国の民間交流が一層盛んになっており、姉妹都市・友好都市の連携も深まっている。神奈川県の黒岩祐治知事が7月、京畿道を訪問し、友好提携35周年を記念する共同宣言を発表。産業協力や人的交流を促進し、神奈川県の経済力や特区の活用、韓国企業とのビジネスチャンス創出を目指す投資セミナーなどを開催。各地の自治体も文化・スポーツ交流を加速し、両国民の相互理解に寄与している。
京畿道と神奈川県は7月16日、交流協力強化に向けた共同宣言を採択した。
両自治体は1990年に友好提携を締結し、今年35周年を迎えた。今後、人的交流を通じてさらなる産業発展のため緊密に協力していくことで合意。この日、金東〓京畿道知事は同道を訪れた黒岩祐治・神奈川県知事と面談。共同宣言書に署名する式典が開かれた。
両知事は意見交換を行い、両地域の共通課題の解決に向けて、今後も協力・連携して取り組んでいくことを確認した。
これまでも多様な分野で交流を続けてきたが、共同宣言には共通の関心分野である高齢化への対応、気候変動、農業科学技術などの協力関係を強化するとの内容が盛り込まれた。
金知事は「両地域間の共同宣言が国交正常化60周年を迎えた韓日両国の協力のモメンタムになることを期待する」と述べた。黒岩知事は、京畿道知事を務めたことのある李在明大統領の就任に祝意を表し、「今回の訪問を機に両地域間の友好交流がさらに深まることを期待する」とした。
黒岩知事は翌日、人材育成と研究開発の支援を目的として2024年に開設された光教バイオハブを訪問。バイオ系スタートアップ企業等に対してライフサイエンスに関する講演を行い、神奈川県のヘルスケア・ニューフロンティア施策などを紹介した。その後、京畿道・水原市のホテルで「神奈川投資セミナー」(主催=神奈川県、協力=京畿道・ジェトロソウル事務所)を開催。参加した韓国企業など約100人に対し、企業誘致施策「セレクト神奈川NEXT」や神奈川県のビジネス環境を説明。
神奈川県横浜市には昨年11月、京畿道水原市に本社を構えるサムスン電子が半導体技術の研究開発拠点を開設。そのほかLGグループは「LGジャパン・ラボ」を、現代自動車は日本法人を構えるなど、韓国を代表する企業の拠点となっている。また昨年4月には在日韓国人企業と韓国企業を結ぶための横浜韓国企業人連合会が発足するなど、韓日ビジネス連携を加速させている。
9月22日に、横浜市のパシフィコ横浜国立大ホールで韓日両国をつなぐ音楽と文化の祭典『日韓国交正常化60周年記念 日韓ミュージックショー(NKMS)』の開催も決定した。
■各地で交流イベント
10月10日には、札幌市と大田広域市の姉妹都市15周年記念友好音楽会を開催。東京都文京区とソウル特別市松坡区は昨年、姉妹都市として提携。9月には文京区・松坡区交流事業「韓国松坡区区民ツアー」を実施する。さいたま市と水原市は「ONLINE文化・語学交流2025」として6月から10月まで月1回、オンラインで民間交流を行っている。鳥取県米子市と束草市は10月に、姉妹都市提携30周年を迎えることから画家の美術交流展を開催。束草市と米子市との職員交流も拡大した。慶尚南道密陽市と岡山県瀬戸内市は5月、姉妹都市締結式を行った。現在、互いの公式SNS活用を行っている。また、各自治体で職員相互派遣なども活発化してきている。