「廃業」初の100万人突破

消費縮小が自営業者を直撃
日付: 2025年07月23日 11時13分

 韓国で廃業した事業者が昨年、初めて100万人を超えた。廃業理由の過半数が「事業不振」となっている。業種別では、小売業と飲食業が半数近くを占めている。高金利と物価高による実質所得の減少が消費縮小につながったとみられ、李在明政権の経済政策が歯止めをかけられるかが注目されている。

事業不振が過半数

 国税庁が6日に発表した統計によると、昨年、個人事業主と法人を合わせた廃業を届け出た事業者数は、前年より2万1795人増えて100万8282人に上った。関連の統計を取り始めた1995年以降、廃業者が100万人を超えたのは初めて。
廃業者数は2019年の92万2159人から3年連続で減少し、22年には86万7292人まで減った。その後、昨年まで2年連続で増加し、100万人を突破した。廃業率も9・04%で、前年の9・02%より小幅に上昇した。
廃業の理由として全体の50・2%の人が挙げているのが「事業不振」で50万6198人。事業不振の割合が半数を超えたのは、グローバル金融危機直後の10年以来となっている。

小売・飲食で半数

 業種別では、小売業の廃業が最も多く、全体の29・7%を占めている。次いで飲食業が15・2%で、この2業種で半数近くを占めている。続いて、不動産業が11・1%、卸売・商品仲介業が7・1%の順となった。
自営業者の苦境は他の調査でも明らかだ。韓国経済人協会が10日に発表した調査結果によると、自営業者の約4割が3年以内の廃業を検討していると回答している。
同調査は韓経協が世論調査機関モノリサーチに委託し、飲食業、宿泊業、小売・卸売業に従事する自営業者500人を対象に実施された。25年下半期の自営業者の売り上げは前年同期比で7・7%減が見込まれている。上半期の売り上げ減少幅15・2%に比べ、7・5ポイント縮小した。
しかし25年上半期に前年より売り上げが「増えた」と答えた割合は23・2%に留まり、実際の平均売り上げ減少幅はマイナス15・2%だった。下半期に売り上げが増えると予想した回答者は39・0%、純利益が増加すると答えたのは37・8%で、上半期に比べてやや楽観的な見通しを示した。
経営上の最大の負担要因については「原材料・仕入れ費」が22・4%と最多で、「人件費」(22・3%)、「賃料」(18・2%)、「借入金返済の元利金」(13・0%)と続く。
自営業者の平均借入金額は1億360万ウォン(約1100万円)、毎月の利子負担額は81万ウォン(約8万6000円)とされ、これに基づく平均金利は年9・4%に達する。

4割超が廃業検討

 さらに自営業者の43・6%が今後3年以内に廃業を検討していると回答した。内訳は「6カ月以内」4・0%、「6カ月~1年以内」8・6%、「1年~1年半以内」8・2%、「1年半~2年以内」7・4%、「2年~3年以内」15・4%となっている。
廃業を考える主な理由としては「業績の継続的な悪化」(28・2%)、「景気回復の見通しが立たない」(17・0%)、「資金繰り悪化と返済負担」(15・1%)、「原材料費などのコストの上昇」(13・8%)、「賃料・人件費・公共料金などの負担増」(12・4%)が挙げられた。

急がれる救済策

 韓国経済産業研究院のキム・グァンソク経済研究室長は「高金利・高物価が続き実質所得が減少したことが、小売販売や飲食店の消費鈍化につながっている。廃業加速化を防ぐ、構造的対応も並行しなければならない」とコメントしている。
李在明政権は事業者向けに長期債務の救済策など、景気刺激策として追加補正予算案を編成した。事業者の廃業に歯止めをかけることができるか、注目されている。


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