コンテンツ産業の連携推進

韓日オンラインセミナー開催
日付: 2025年07月23日 10時28分

 近年、IP(知的財産)ビジネス産業はグローバル化の波に乗り、急速に進化している。コンテンツビジネスにおいては、生成AI(人工知能)の台頭が業界の構造やクリエイティブプロセスに大きな変革をもたらしている。韓国と日本のコンテンツ産業は、互いの強みを活かし、協力や連携を通じて新たな可能性を模索する動きが広がっている。こういったなか、韓国コミュニケーション学会と日本のデジタルハリウッド大学は学術協定(MOU)を締結、「日韓メディア・コミュニケーション協力の未来」をテーマにオンラインセミナーを開催した。

 

 韓国コミュニケーション学会(KCA)はデジタルハリウッド大学(DHU)と共催で18日、韓日両国のメディア・コンテンツ分野の展望について考える「2025日韓国際セミナー」を開催、70人が参加した。
韓国コミュニケーション学会は、メディア研究、文化産業、情報社会論などの分野を横断的に扱う韓国最大級の学会の一つで、アジアにおけるメディア・コミュニケーション研究の中心的存在。デジタルハリウッド大学は、実践的なデジタル教育と国際連携による人材育成を掲げる日本の先端教育機関として、コンテンツ・メディア・テクノロジーの学際的な研究・教育を推進している。
同日にはメディア・コンテンツ・コミュニケーション分野における学術交流と共同研究の推進を目的にMOUを締結。今後、両者の専門性とネットワークを活かし、国際共同研究、人材交流、セミナーの定期開催、教育プログラムの共同開発など、多角的な連携を推進する。
セミナーは「日韓メディア・コミュニケーション協力の未来:学術的な交流と共同研究の可能性」をテーマに、韓日の研究者・専門家それぞれ3人が登壇。コンテンツ・メディア・デザイン・キャラクター・パフォーミングアーツといった多様な領域における知見を共有した。登壇者とテーマは次の通り。
 【韓国側】
カン・ヘウォン成均館大学招聘教授「独立系制作会社におけるクロスプラットフォームIP戦略に関する研究」/パク・ヒヒョン韓瑞大学教授「融合の美学:AI・アナログ・持続可能性が導く韓国デザインの現在と未来」/キム・ウリソウル大学博士課程「韓流アイドル産業におけるキャラクターIPの文化的拡張と戦略的価値」
 【日本側】
茂出木謙太郎デジタルハリウッド大学准教授「トランスメディア・ストーリーテリングとプラットフォーム戦略―アニメ・VTuberの日本コンテンツ産業最前線」/白井暁彦デジタルハリウッド大学大学院教授「VTuberのその先へ:研究と教育が駆動する、ゲームからの生成AIまでのコミュニケーション進化論」/因藤靖久松竹株式会社演劇本部広報宣伝部「日本の伝統芸能『歌舞伎』における次世代に繋げるIP戦略について」
セミナー後には登壇者同士が活発な意見交換を行った。コンテンツ制作における生成AIの可能性、トランスメディア・ストーリーテリング、韓日におけるキャラクタービジネスの違いなど、多岐にわたる討論が繰り広げられた。
両国の強みを活かし、アカデミアと産業界を横断する形で知の共有とネットワーキングを行うことは、グローバルコンテンツ市場における共同価値の創出にも直結する。両国が技術と文化のシナジーを最大限に活かし、倫理的・法的な枠組みを共同で構築できれば、アジア発のコンテンツがグローバル市場でさらに大きな影響力を持つだろう。
これまで企業間でのコラボレーションは多く見られるが、今後は研究者やクリエイターなど草の根レベルの交流も重要になる。韓日間の意見交換の場は、生成AIの活用方法やコンテンツビジネスの未来を議論する上で不可欠だ。
韓日共同セミナーが今後のコンテンツビジネスの新たな地平を切り開くカギとなることが期待される。


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