60周年迎え 各地の韓日親善活動が活発

栃木・島根・岡山「日韓協」で総会
日付: 2025年07月15日 11時17分

 各地の日韓親善協会で総会が開催されている。政権交代を受けても、各イベントや草の根交流が途切れないよう努めている。各地の民団や政界関係者との縁を活かしつつ、ともに国交正常化60周年を祝う地域の取り組みに注目した。

地域に根づく草の根交流

 栃木県日韓親善協会(青木勲会長)は北関東綜合警備保障社内で先月17日、今年度の総会を執り行った。関係者約90人が参加した。


青木勲・栃木県日韓親善協会会長は主催者あいさつの中で「親善」の二字を強調した

 

 はじめに、青木会長が主催者あいさつを行った。「親善」の二字にかける思いや、自身の韓半島との縁について話した。
続いて、禹春彦・在日本大韓民国民団栃木県地方本部団長に代わって文勝幸議長が民団栃木代表としてあいさつした。文議長は、「現在の李在明政権は韓日の連携を進めているが、支持率の低下などで反日ののろしを上げることも危惧される。今後の動向を慎重に見守っていきたい」と話した。

■栃木で今夏に柔道交流会

議事の後で、報告事項が述べられた。今月31日から来月3日まで日本で開催する「日韓親善少年柔道交流大会」は、栃木県日韓親善協会の目玉行事。青木会長は本紙の取材に対し、「体と体でぶつかり行うスポーツを通じたコミュニケーションは何よりも大事。政治色などを持たない青少年が、互いの国を理解しようと心身でぶつかるところから『親善』が始まると考えている」と語った。
生井昭男・同事務局次長は、「おそらく互いの国への訪問が彼らにとって初めての海外旅行になると思う。今回は日本が韓国側の選手を受け入れる番なので、柔道だけでなく日本を好きになってもらえるように歓待したい」とした。
総会終了後、洪熒・本紙論説主幹が「文明の特異点で眺める日韓関係」と題して講演を行った。約150人が聴講した。


島根県日韓親善協会連合会(細田重雄会長)はホテル一畑で7日、今年度の総会を執り行った。関係者約60人が参加した。
細田会長は、「韓国は新政権となり、日韓関係はこれから重要になると考えている。これからますますの友好関係が広がることを願う」とし、今後の両国が良好な関係へと進むよう期待を寄せた。
総会の後で、李相哲・龍谷大学社会学部教授が「韓国新大統領と日韓関係」と題し講演を行った。李教授は、「昨年12月3日の尹錫悦前大統領による非常戒厳宣布によって韓国社会が混乱に陥り、結果的に最大野党の李在明氏(当時)が新大統領に当選した。多くの裁判など様々な問題を抱えた人物を大統領に選んだ韓国の国民性やその社会性を顧みると”クリーンな政治家より政治力のある人がいい”という意識が強いように感じる」と総括した。


7日、島根県日韓親善協会連合会総会で講演を行った李相哲・龍谷大学社会学部教授(島根日韓親善協会連合会提供)

 

 また、「李在明大統領は昔、日本に厳しい姿勢で臨んでいたが、当選後には韓日関係について『重要な関係であり、同じ庭を両国が共有する関係』とした。それも自身の政治のためには真実ではないかと思う」と述べた。
しかしながら、これからの韓日関係の展望については、「前政権の頃のように平穏ではいられず、かなりの波風が立つのではないか」と懸念を語った。講演会を約80人が聴講した。
懇親会の場で、李秀晶・駐広島韓国総領事館副総領事は、「草の根レベルで尽力してきた日韓親善協会の皆さんと民団を中心にした在日同胞の皆さんに感謝しつつ、これから先の60年を見据え互いに協力していくことを願う」と述べた。


岡山県日韓親善協会(松田久会長)は岡山プラザホテルで8日、今年度の通常総会を執り行った。約60人が参加した。
松田会長は主催者あいさつの中で、今年5月に開催した60周年記念事業としての民画展の隆盛に触れた。また、民団岡山との関わりや「映画上映会」「日韓友好マダン親睦ゴルフ大会」など長年取り組んできた実績について語った。
総会終了後、李相烈・駐神戸韓国総領事館総領事が「現在の国際情勢と韓日関係」と題して講演した。李総領事は、KPOPなどエンタメや日本のアニメなどの文化交流により現在の友好ムードが醸成されたことに触れ、両国の結びつきをより強化すべきという見通しを語った。
総じて、各地の「日韓協」では、地域に根づいた青少年交流・スポーツ交流・文化交流の地盤があり、政治に影響されない草の根交流を地域ごとに展開している。国交正常化60周年の年に就任した李在明大統領への期待と不安が入り混じった現状と言えるだろう。

8日、岡山県日韓親善協会連合会総会で講演を行った李相烈・駐神戸大韓民国総領事館総領事(岡山県日韓親善協会提供)


閉じる