編集余話

日付: 2025年07月15日 09時41分

 韓国の不動産市場、特にソウルを中心とする首都圏では、長年にわたり高騰が続いている。家計資産の70~80%が不動産に集中し、株式など他の投資案件が相対的に弱いため、資金が不動産に流れ込む構造が続いてきた▼歴代政府は不動産高騰抑制のため、複数の対策を講じてきた。文在寅政権(2017~22年)にいたっては実に28回にわたり規制を導入し、融資制限や多住宅者への重税を強化したが、価格安定には至らなかった▼李在明政権初の不動産対策は、これまでの政権と比べても厳しいもので「劇薬処方」に近い。首都圏の住宅担保融資限度を6億ウォンに制限し、融資を受けて住宅を購入すれば、6カ月以内の実入居を義務付ける。多住宅者に対する貸出は源泉封鎖し、条件付き貸切貸出も防ぎギャップ投資まで遮断した▼施行された直後から不動産取引に関する問い合わせが激減するなど一定の効果を見せている。だが高騰を前提とした融資=家計負債への影響が懸念されている。また外資に対する規制が盛り込まれていないとの批判の声もあがっている▼韓国社会は長い間「不動産不敗神話」にとらわれてきた。家は「住むところ」ではなく「投資の対象」になり、若年層が結婚と出産をあきらめる要因の一つとなった。住宅価格の変動が消費と景気、出生率にまで影響を及ぼす構造を変えなければならないのは確かだ。単に住宅価格を抑えるに止まらず、不動産に集中する資金の流れを変える構造的改革に乗り出さなければならないだろう。


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