韓国原子力安全委員会は6月26日、釜山郊外の古里原子力発電所1号機の解体を承認した。韓国で初の原発解体事例となる。作業完了には約12年かかるとみられる。
同原発は1978年に稼働を開始した韓国最古の商業用原子炉。加圧軽水炉方式の電気出力587メガワット級。40年間の運転を終えた後、2017年6月に永久停止された。
その後、解体計画書の策定と規制機関による技術審査や補完の過程を経て承認を受けた。解体費用には約1兆700億ウォン(約1140億円)を見込んでいる。
解体に向けて昨年5月に古里1号機の放射性物質を化学薬品で除去する除染作業を開始した。31年まで非放射線区域の撤去と使用済み核燃料の搬出を行う。その後の35年まで汚染区域の除染と撤去、放射性廃棄物処理などを行い、37年までに敷地復元を進める。復元された敷地は、産業用の施設として利用する計画。
原発の解体経験があるのは、世界でも米国やドイツ、日本など4カ国に留まっている。
現在、世界で永久停止が決まった原発214基のうち、解体が完了したのは全体の11%に過ぎない。今回の解体作業をきっかけに、韓国が原発の全ライフサイクルを管理する体制を構築する機会になると見込まれる。今後、500兆ウォンに上るとされる、世界の原発解体市場への進出が期待されている。