在日社会から新政権に期待と不安の声

日付: 2025年06月24日 11時27分

 現在、在日同胞社会の李在明新政権への評価は、期待を寄せる声の方が多くなっている。一方で、政局が不安定な韓国の現状を顧みて、不安も入り交じっているとした方が正確だろう。以下、具体的な4人の在日同胞の声を伝えたい。

 都内在住の在日3世、NO FENCE(北朝鮮の強制収容所をなくすアクションの会)の副代表を務める宋允復氏は本紙の取材に対し、「李在明大統領は国家財政への知見が深く、現代貨幣理論(MMT)に基づいた民生改革を行い、内需経済の厚みを増そうとしている」とし、経済的手腕に期待を寄せた。他方、「NO FENCEとして長年注力してきた北人権への取り組みから言えば、我々自身もリスクを負って新政権に働きかけ、李大統領に理解を示してもらいたい」とし、韓国でも日本でもNGOなどが活動を強化していく必要があると見通した。
滋賀県在住の在日3世、姜永根・ライフヒストリー良知代表取締役は、「就任後の李大統領の立ち居振る舞いは評価している。韓日米の同盟関係を維持しようとする姿勢が伺えるからだ。ただ、これからの韓国内での政治・経済・社会状況の変化によっては、反米や反日姿勢を強めていくかもしれないという危惧も持っている」と述べた。
兵庫県在住のある在日2世は、「現政権は戒厳令に賛成か、反対かという選択を国民に迫ったが、それが勝利したことを喜ばないのはおかしい。脱北者の悲劇は重要なイシューだが、それは数ある問題の一つであり、政権が今後状況を見ながら対処するだろう。特定の問題をもって政権に反対するという姿勢の方が警戒すべきだろう」とした。
大阪府在住の在日4世は、「私たちの立場から一番気になるのは韓日関係と在日同胞への政策であるが、同世代から不安や懸念の声も上がっている。韓日親善については、政治的パフォーマンスや一過性のものへと堕してしまわず、保守派であった前政権の方針だからと全て切り捨てずに、継承していってもらいたい面もある」と話した。
総じて、新政権の舵取りに対し、積極的な批判も包含した期待を投げかけているというのが集まった声の特徴とできる。期待を寄せる立場が前提で、韓日親善を阻害しない方向へと新政権が進むことを願う声が多いのが現状といえる。


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