韓日の企業関係者らが経済連携などについて意見交換する「第57回韓日経済人会議」が5月27、28の両日、ソウルで開かれ約300人が参加した。「韓日国交正常化60周年、より広く、深い日韓協力」をテーマに、韓日経済協会、日韓経済協会などが主催。生成人工知能(AI)や半導体開発、サプライチェーン(供給網)の協力強化や、韓国の「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」(CPTPP)加盟推進などを盛り込んだ共同声明を採択した。
開会式で韓日経済協会会長の金ユン・韓国側団長(三養ホールディングス会長)は「どのような政治的な変化にも左右されず、相互協力を強化していく」とあいさつ。日韓経済協会副会長の麻生泰・日本側団長(麻生セメント会長)は「取り巻く情勢が厳しくなるほど協力が必要であり、さらに拡大していかなければならない」と応じた。
韓日の経済関係者が次々に登壇し発表。AI、半導体連携協力、水素エネルギー、バイオ・ヘルスケア、スタートアップ投資など、多様なテーマで韓日間の経済連携策を提言した。
閉会式では共同声明を採択。▽信頼の構築と発展▽経済連携の拡大(カーボンニュートラルと水素社会の実現、生成AI・半導体の連携、バイオ・ヘルスケア産業の育成、サプライチェーン強靭化、エネルギー確保、少子高齢化などの社会課題に関する連携)▽CPTPPの活用(韓国のCPTPP加入に向けた働きかけ)▽交流の拡大(出入国時の手続きの簡素化や廃止の要望)―の4項目の合意を盛り込んだ。
同会議は「韓日国交正常化60周年を機に両国の経済人は互いに築いてきた信頼と友情の価値を再確認し、韓日と世界の輝く未来のために革新的な連携・協力に務めていくことを決意した」と表明した。
閉会後の記者会見で金団長は経済連携について、「2国間自由貿易協定(FTA)は妥結するのに時間がかかるので、CPTPP加入を進めて、長期的には経済連合体をつくるべきという意見がある」と述べた。
CPTPPは2018年に発効した日本、シンガポール、オーストラリア、カナダ、英国など12カ国が加盟する関税削減や幅広い経済ルールの整備を進めた経済連携協定。世界の国内総生産(GDP)の約15%を占めるとされる。
麻生団長は韓国次期政権について「日韓関係を重視して改革を推進してもらいたい。連携強化についてのメッセージを新政権が発してほしい」と要望した。
同会議は1969年の第1回以降、一度も中断することなく韓日相互で開催されてきた。来年の第58回同会議は日本で開催される。
第57回韓日経済人会議共同声明採択の記者会見に臨む韓日経済協会会長の金ユン・韓国側団長(左)と日韓経済協会副会長の麻生泰・日本側団長